日本アイ・ビー・エムで取締役 専務執行役員 グローバル・テクノロジー・サービス事業担当を務める下野雅承氏

日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)は1月29日、企業のIT部門が直面する課題への対策を提言すべく、「ITインフラストラクチャー・コンファレンス2009」を開催した。基調講演では、日本IBMの取締役 専務執行役員 グローバル・テクノロジー・サービス事業担当を務める下野雅承氏が、「ITの視点とビジネスの視点~CIOの優先課題とは~」というテーマの下、CIOが抱える課題について語った。

下野氏は、「松下幸之助氏をはじめとするさまざまな企業のトップは、経済が混迷している現在こそ、変革の好機ととらえており、実際にこれまでもイノベーションが生まれてきた」として、市場が低迷している今こそ、企業は現状を見直して変革を起こしていくべきだと訴えた。

そうしたなか、CIOは「IT予算の削減を求められる一方、IT活用による全社のコストの最適化」など、相反する成果が求められており、それにこたえるには、IT活用における「攻め」と「守り」のバランスが取れた仕組み作りが必要だという。攻めとは「情報化推進」「ビジネスプロセスの最適化」「イノベーションへの貢献」であり、守りとは「システムの安定稼働」「リスク低減」「ビジネスプロセスの可視化」などである。

CIOが構築すべき「攻め」と「守り」の仕組み

次に、同氏はCIOと行ったディスカッションの結果から浮かび上がってきたCIOの課題を示した。その課題とは、「ビジネスとITのアライメント」「システムのライフサイクル・マネジメント」「人材マネジメント」「イノベーションの源泉」の4点だ。

CIOとのディスカッションから見えてきた4つの課題

同氏によると、各課題に対する対応策として、以下の内容が考えられるという。

ビジネスとITのアライメント

・サービス価値を「みえる」化して共有

・ダイナミックなインフラと柔軟なシステム

・CIOの横串機能を発揮

システムのライフサイクル・マネジメント

・ビジネス側の要求管理と過剰サービスの適正化

・信頼されるサービス品質の提供

人材マネジメント

・内部サービスと外部サービスの使い分け、コアのスキルを強化

・ビジネスマインドの育成

イノベーションの源泉

・日々の積み上げがもたらすイノベーション

・新テクノロジーの適用

上記の課題解決をサポートするために、同社は「ユビキタスな、リアルタイム・コミュニケーションとコラボレーション環境」「SOA化のためのITインフラストクラチャ」「バリューチェーン全体のセキュリティ最適化」「グリーンでダイナミックなデータセンター・インフラストラクチャ」「サービスマネジメントによるIT最適化」「事業継続のためのITインフラストラクチャ」という6つのITインフラストラクチャによるアプローチを提供できるという。

CIOの課題解決をサポートする日本IBMによる6つのITインフラストラクチャのアプローチ

同氏は、同社が注力している次世代のITプラットフォームとして、クラウドコンピューティングを紹介して、講演を締めくくった。

IBMが考えるクラウドコンピューティング