富士通 経営執行役 上席常務 CFO 加藤和彦氏

富士通は1月30日、2008年度第3四半期(4月-12月)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比7.9%減の3兆5,076億円、営業利益は同85.3%減の133億6,100万円、経常損益と純損益はそれぞれ145億1,600万円、361億2,000万円の損失へと転落した。なお、同社では「為替の影響が非常に大きい」(同社 経営執行役 上席常務 CFO 加藤和彦氏)としており、その影響を除くと売上高は同3%減に収まるとしている。

また、決算発表に併せて、2008年10月に修正公表した通期目標を再度修正。売上高は同3,500億円減額の4兆7,000億円に、営業利益は同1,000億円減額の500億円に、経常利益は同1,200億円減額の0円に、そして純利益は同800億円減額の200億円の損失へと転落する見込みとした。これは、「パソコン/携帯電話、HDD、ロジックLSI、電子部品の市況悪化や円高による為替差損による減収影響を織り込んだため」(同)としており、このほか、同日に発表した子会社である富士通マイクロエレクトロニクス(FML)の生産ライン統廃合にかかる損失約100億円なども含まれているという。

部門別の状況をみると、サービス事業、サーバ製品が属する「テクノロジーソリューション」は売上高が同2.8%減の2兆2,100億円、国内に限ると同5.6%の増収となる。国内のSIビジネスが伸長したほか、キャリア向けルータが増収となったほか、海外も減収となっているものの、為替の影響を除くとほぼ前年同期並みになるという。また、営業利益は同6.3%増の776億円で、欧州でのサービス事業で民需系ビジネス拡大に伴う初期コストの負担やコスト効率化の遅れ、為替の影響などが響いたものの、携帯電話基地局のコスト効率化やキャリア向けルータの増収効果などにより増益となった。

パソコン、携帯電話、HDDなどを中心とする「ユビキタスプロダクトソリューション」は、売上高が同17.4%減の7,273億円、営業損失は前年同期から379億円の悪化で26億円の損失となった。国内外を分けて見ると、国内は携帯電話の買い替えサイクルの長期化、パソコンの価格競争激化などが影響し、「携帯電話は久しぶりに赤字を計上した」(同)という。また、海外もHDDを中心に価格下落などが進み、為替の影響を除いても同16%の減収となった。なお、損失が継続するHDD用ヘッド事業については、長野工場の製造ラインの閉鎖を決定している。

LSI、電子部品などが含まれる「デバイスソリューション」は、売上高が同18.4%減の4,904億円、営業利益は同440億円悪化の284億円の損失となった。主に国内の影響が大きく、国内のみの売上高は同22.4%減となる。これは、65nmプロセス品が増収となったものの、90nm品や基盤ロジック品が在庫調整の影響を受けたためという。各四半期別に見ると、第1四半期が同13.5%減、第2四半期が同22.4%減、第3四半期が同30.8%減となっている。「LSI、電子部品ともに2008年10月以降減速感が激しくなり、12月からはそれがさらに加速している状況」(同)とのことで、第4四半期は前四半期比でLSIの売り上げが4割減、電子部品が同6割減となる見込みとしている。

なお、第4四半期の為替のレートは、1ドルが10月時点の公表から10円下げた90円、1ユーロが同5円下げた120円、1ポンドが同40円さげた120円としており、これだけで修正した業績予想の内、売上高で1,000億円、営業利益で100億円、経常利益で200億円、純利益で150億円のマイナス要因となっているという。