富士通の半導体子会社である富士通マイクロエレクトロニクス(FML)は1月30日、LSI製造部門での生産の効率化や費用の最適化の一環として、2008年秋からの需要減少に対応するための施策として、前工程の製造体制を見直すことを決定した。
富士通 経営執行役 上席常務 CFO 加藤和彦氏 |
見直しの対象となるのは130nmプロセス以前の、同社が基盤ロジックLSI事業と位置づける部分。これにより、同社岩手工場、会津若松工場、富士通セミコンダクターテクノロジ(FSET)の150mm(6インチ)および200mm(8インチ)ウェハの製造ラインを統廃合する。「すでに後工程は2008年中に統廃合を完了しており、今回の施策によりFMLの事業最適化が完了する計画」(富士通 経営執行役 上席常務 CFO 加藤和彦氏)という。
再編されるラインは、岩手工場の6インチラインを会津若松工場の6インチ第1ラインに集約する。また、会津若松工場の6インチ第2ラインを同第1ラインに統合するほか、8インチラインをFSETの8インチラインに統合される。
施策実施にあたり、同工場に勤務する約2,000名の従業員は富士通グループ内で再配置が行われる予定。また、工場設備関係として、2008年度の決算に約100億円の損失が計上されることとなる。
なお、この工場の再編について、先述の加藤氏は、「2009年中は難しいが、2010年にはビジネスとしての盛り返しを図ることが可能となるように見込んだラインの調整」としており、生産能力の最適化の意義を強調するが、「2009年についてはまったく自信がない。夏以降になんとかなって欲しいと思っているが、そうはならないのが現実だろう。米国の新大統領の施策の効果の兆しが年内に出てきてくれれば期待が持てるかもしれない」とし、「赤字が長引けば、富士通グループ全体の歯車が狂う可能性もある。そうなる前に、関係会社含めての統合なども考える必要が出てくる可能性もある」とした。
また、米国あるいは海外の同類他社との合併や売却の可能性を示唆しているSpansionに関して、富士通が保有する株式の評価損64億円を特別損失に計上したことについては加藤氏は、「現在、富士通は11%の株式を保有しているが、製造委託や代理店販売などを行っている程度の係わり合い」としながら、「もし、同社の株式を買いたいという意思表示をする企業がいるなら、企業にもよるが、売却なども前向きに検討したい」(同)とした。