市場調査・コンサルティングを行うシード・プランニングは27日、インターネット広告市場に関する調査結果を発表した。これによると、「ネット広告市場の成長水準は過去と比較して穏やかになりつつも、今後も持続的な成長が見込まれる」とし、「2013年には8,500億円規模になり、2017年には1兆円規模に達する」と予測している。
「年率6%~13%、金額で年500億円~800億円」の成長を予測
調査は、インターネット広告関連事業者約30社と、国内の有力広告主企業約800社を対象に実施。訪問・電話によるヒアリングと、電話・ファクス・電子メールによるアンケートにより行った。
これによると、2009年のインターネット広告市場は前年比11.2%増の5,950億円。その後も、「市場構造の変化や経済環境などの内外の要因により、インターネット広告市場の成長水準は過去と比較して穏やかになりつつも、今後も持続的な成長が見込まれる」とした。
具体的には、「市場は今後年率6%から13%、金額にして毎年500億円から800億円規模で成長する」と予測。「2013年には8,510億円となり、その後も同水準の成長が維持されれば、遅くとも2017年には媒体費のみで1兆円規模になることが見込まれる」としている。
ただしその前提として、「2010年から2012年頃までのモバイル広告市場規模の、上位シフトを伴う急激な成長と、2011年頃より期待される経済状況の改善による、ディスプレイ広告市場の成長水準が再度上向くこと」が必要としている。
PCリスティング広告市場が「市場全体を牽引」
詳細については、検索連動型広告に代表されるPCリスティング広告市場が、「インターネット広告市場全体の成長を牽引している」と分析。「2009年以降や成長トレンドがやや穏やかになりながらも、今後も市場全体を牽引していくことが見込まれる」としている。
また、2007年頃より急成長をみせているモバイル広告市場については、「2008年も急成長を遂げた」としながらも、「2009年は景気悪化の影響により、一時的に新たな広告主によるモバイル広告利用の広がりが穏やかになることが想定される」と予測している。
PCディスプレイ広告市場については、「2008年には停滞感が見られるようになった」とする一方、「ユーザーを属性や、嗜好性などによるターゲティングをされた広告への需要が高まり、PCディスプレイ広告市場を下支えしている」と分析。
「2009年は前年並みか、やや上回る程度のトレンドで推移することが見込まれるが、景気状況が更に悪化すれば、前年を下回る可能性もあり得る」としている。
電通の調査によると、2007年のインターネット広告費は前年比24.4%増の6,003億円。2007年ですでに、前年比0.9%減の1兆9,981億円だったテレビ広告費、前年比5.2%減の9,462億円だった新聞広告費に次ぐ、第3の広告媒体になっている。
今回のシード・プランニングの調査結果を考慮すると、今後も新聞広告の減少傾向が続いた場合、2010年代初めか半ばごろまでには、ネットが新聞を抜いて第2の広告媒体となる可能性が高くなっているといえる。