マイクロソフトは、昨年10月に米国で開催した、PDC 2008(Microsoft Professional Developers Conference 2008)で発表したクラウドコンピューティング向けプラット フォームWindows Azureを技術者向けに紹介するイベント「Microsoft Tech Days 2009 "Best of PDC"」を横浜で開催した。
キーノートを行ったマイクロソフト 執行役 デベロッパー&プラットフォーム統括本部長 大場章弘氏は「クラウドは大きな流れで、これは否定できない。マイクロソフトもそれを認識している。ただし、クラウドは魅力的だが万能ではない。過去からの継続性が大切で、今までのスキル、環境、ツールを最大限に活用しながら、クラウドで提供されるサービスを組み合わせながら拡張していくことが重要だ」と述べ、すべてをクラウド上のサービスに置き換えるのではなく、自社システムも活用しながらクラウド上のサービスを使い拡張させていく「ソフトウェア+サービス」という、同社のクラウドに対する考え方を改めて強調した。
また同氏は「PC、携帯、ブラウザなどさまざまなデバイスがクラウドにつながって、その上で便利なサービスを展開することが、クラウド時代にITで成功するための大きなポイントだ」述べ、ブラウザだけなく、さまざまなデバイスからシームレスにつながることがクラウドにおける差別化ポイントであることを強調した。
クラウド環境向けにマイクロソフトが提供するプラットフォームは昨年の10月のPDCで発表された「Windows Azule」だ。そして、現状その上で動作するオンライン上ライブラリ「Live Services」「.NET Services」「SQL Services」「SharePoint Services」「Microsoft Dynamics CRM Services」の提供がアナウンスされている。
そして、「Live Services」「.NET Services」「SQL Services」が開発者向けサービスコンポーネントで、「Live Services」はコンシューマ向け(B to C)で、「.NET Services」と「SQL Services」は基幹系、業務系アプリケーションといったエンタープライズ向けのコンポーネントとなる。
そして、これらのサービスはクラウド上のアプリケーションだけでなく、既存のシステムからも利用することができるという。そのため、.NET Servicesでは、既存システムと接続するための、Service Busが提供される。そのほか.NET Servicesには、認証基盤やアクセスコントロールを提供するAccess Control Service、ワークフローを提供するWorkflow Serviceなどがある。Access Control Serviceでは、クラウド上のセキュリティポリシーに、既存システム上のActive Directoryを連携させることも可能だという。
「Live Services」では、現在マイクロソフトが提供しているWindows Live、MSN、Office Live、Live Meshなどのオンライサービスを支える基盤を利用したサービスの開発も可能だという。このサービスでは、ユーザーデータやアプリケーションリソースを管理し、Windows Live IDを持つユーザーとの連携が可能になるという。また、仲間同士で情報を共有するソーシャルグラフ、PC、Device、クラウド間のデータ連係などがサポートされる。そして、携帯、PCなど異なったデバイスで利用できるアプリの可搬性を可能にするためのコンポーポーネントでもあるという。
大場氏は今後のロードマップについては、今年の中旬にCTPのアップデートを行い、1年から1年半後に商用展開したいと語った。