新しい米国大統領の誕生とともに、「Googlebomb (Google爆弾)」が再び炸裂した。Googleで「failure」(失敗)と検索すると、一時ホワイトハウスのオバマ大統領の経歴ページが検索結果のトップに表示された。
Googlebombはジョージ・W・ブッシュ前大統領が再選に臨んだ2003年頃から話題になり始めた。Googleで「failure」や「miserable failure」(悲惨な失敗)を検索すると、当時のブッシュ大統領の経歴ページが検索結果のトップになった。これは反ブッシュと思われるネットユーザーが、これらの言葉からアンカーテキストでブッシュ大統領の経歴ページに大量のリンクを張ったのが原因と見られている。いたずらだが、一部のGoogleユーザーから政治的なバイアスが反映されているという批判が届き、2007年にGoogleはリンク構造分析の見直しと対策アルゴリズムの開発により、Googlebombの影響を最小限に食い止められるようになったと報告した。
それでも完全には防げなかったようだ。一部のネットユーザーがレポートしているように、Googleも「failure」からオバマ大統領経歴ページへのGooglebombを認めている。ただしGooglebomb対策が効いているのだろう。今回は短期間で爆弾処理された模様だ。なおGoogleが対策アルゴリズムを再度走らせたところ、新たに「cheerful achievement」(快挙)という爆弾が発見されたそうだ。これはブッシュ時代と大きな違いである。
ブッシュ前大統領への爆弾がオバマ氏に
Googlebombと呼ばれているが、この爆弾はGoogleだけの問題ではない。すでにGoogleでは爆弾処理済みだが、米Yahoo!で「miserable failure」と検索すると、米国時間の27日でもオバマ大統領の経歴ページが結果トップになる。
Yahoo!で「miserable failure」と検索するとオバマ大統領の経歴ページがトップに |
オバマ大統領への突然の逆風についてSearch Engine LandのDanny Sullivan氏は、ブッシュ時代の遺産が原因だと指摘している。2003年12月に当時のブッシュ大統領に対するGooglebombが問題になった際、ホワイトハウスのITチームは対策として「http://www.whitehouse.gov/president/gwbbio.html」だったブッシュ大統領の経歴ページを「http://www.whitehouse.gov/president/biography.html」に変更した。そして「・・・gwbbio.html」を削除し、そのぺージへのリクエストを今日の米大統領のメインページである「http://www.whitehouse.gov/president/」にリダイレクトするようにした。
Sullivan氏は、当時の担当者がGooglebombの直撃を受けた経歴ページを抹消することで問題を解決できると考えたと見ている。リダイレクトでGooglebombを回避できると考えたのか、それとも旧経歴ページのブックマークからのリンク切れの問題に気づいたのか、狙いは理解しづらいが、担当者はブッシュ氏の新しい経歴ページへリダイレクトせずに、大統領のメインページを選択した。そのため現在の大統領ページの主であるオバマ大統領がブッシュ時代のGooglebombを受け継いで、Yahoo!の「miserable failure」検索で結果トップになっている。またリダイレクトのおかげで今のホワイトハウスのWebサイトは、「・・・gwbbio.html」にアクセスすると、オバマ大統領のページが開くという奇妙な状態である。
Sullivan氏の分析については、GoogleのソフトウエアエンジニアであるMatt Cutts氏がブログを通じて「Googlebombの背景にある歴史と仕組みを見事に説明している」と認めている。