日立製作所は、ベルギーのルーヴァン・カトリック大学と共同で、「スポンジ型構成法」を用いた次世代ハッシュ関数を開発したと発表した。

ハッシュ関数は、メッセージのデジタル情報を圧縮し、特徴値と呼ばれる固定長の出力値を生成する関数。データが少しでも異なると抽出された特徴値が一致する可能性はきわめて低いため、データの破損や悪意ある第三者によるデータの改ざんを検出するために用いられている。

現在主流のハッシュ関数は、160ビット長の特徴値を出力するSHA-1と呼ばれる関数。これまでの多くのハッシュ関数は、一定サイズのデータブロックごとに安全な圧縮処理を行うという設計思想に基づいて設計されていたが、今回開発したハッシュ関数は、全データを一括して安全な圧縮処理を行う 「スポンジ型構成法」を適用し、従来型に比べて高い安全性を実現したという。また、新方式では、単一の基本関数を複数個並列に配置する構造にし、並列処理実装を可能にした。これにより、高速処理が可能で、日立が行った性能評価では、32ビットCPUの場合で、ハッシュ関数SHA-2と比べ、約20パーセント高速になったという。

日立とルーヴァン・カトリック大学は、今回開発したハッシュ関数をNIST(米国立標準技術研究所)のSHA-3コンペに応募。コンペでは、今回日立が開発した関数を含む51のハッシュ関数が候補として認定され、今後、安全性や性能等の様々な面から候補の比較が行われ、2012年に次世代ハッシュ関数SHA-3が選定される予定だという。