「Oracleのこだわりが顧客への貢献という形で具体化した製品」と日本オラクル 代表執行役社長 遠藤隆雄氏

日本オラクルは20日、米国で昨年9月に発売したデータウェアハウスシステム「HP Oracle Database Machine」とストレージシステム「HP Oracle Exadata Storage Server」で構成される製品ファミリ「Oracle Exadata」の国内提供を開始した。その名の通り、Hewlett-Packardとのコラボレーションによって生まれたOracle初のハードウェア製品であり、米国ではすでにいくつかの導入事例が発表されている。日本オラクル 代表執行役社長 遠藤隆雄氏は「100年に一度と言われる不況の中にあって、"10年に一度"のテクノロジを日本のユーザにもお届けしたい」と会見の冒頭で挨拶、「オープンかつスタンダードであることはOracleが常に掲げてきたポリシー。今回、HPとの3年に渡るコラボレーションの結果、ハードウェアにも同じことを投影できた。これまでの汎用RDBのカベを破るような高パフォーマンスが実現されている」と自信を見せる。

HP Oracle Database Machineは、8台のOracle Database 11gサーバと、14台のHP Oracle Exadata Storage Serverを1つのラックに搭載したシステム。ハードウェア構成は

  • 112基(8基×14)のIntelプロセッサコア
  • 168基(12基×14)のSAS HDD(SATAも可)、最大168TB(12TB×14)のストレージ容量
  • 4台のInfiniBandスイッチ(2基/1台)、14Gb/秒(1Gb/秒×14)のデータ帯域

となっており(カッコ内はHP Oracle Exadata Storage Server1台あたりのスペック)、11gサーバには

  • Oracle Enterprise Linux
  • Oracle Real Applications Clusters
  • Oracle Partitioning

が搭載されている。I/O拡張も無制限に対応する。

最大の注目ポイントはその高速性だ。データベースとストレージ間で14Gb/秒という高速データ帯域を実現している背景には、11gの上で動くテクノロジ「Smart Scan」が重要な役割を果たしている。Smart Scanにより、ストレージからデータベースサーバへと流れるデータ量を減らすことができ、さらに1台あたり2基のInfiniBandが両者の接続を太くしているため、非常に高いパフォーマンスを得ることが可能になった。また、従来型のストレージの場合、検索対象を全件アクセスしてしまうため、データ量の増加がそのまま性能のボトルネックとなっていたが、Exadataの場合、検索結果(行と列)だけを高速抽出して返すことが可能になっている。つまりレスポンスデータを最小限にできるので、「従来に比べて10 - 100倍の性能向上が実現した」(日本オラクル 常務執行役員 システム事業統括本部長 三澤智光氏)という。米Oracleのサーバテクノロジー プロダクト マネジメント バイスプレジデントのマーク・タウンゼント氏は「ストレージにインテリジェンスをもたせることができた。これは11gの技術があってこそ実現したもの」と語る。

米Oracle サーバテクノロジー プロダクト マネジメント バイスプレジデント マーク・タウンゼント氏

日本オラクル 常務執行役員 システム事業統括本部長 三澤智光氏

タウンゼント氏によれば、米国では金融機関や通信企業など、大規模データウェアハウスを必要とする企業によるExadata採用事例が公開されており、たとえば金融機関のFinancial Groupは、(Oracle Exadataによって)テスト時の処理が10 - 15倍高速化したと報告している。

一方、日本企業での採用について、三澤常務は「すでに数多くの引き合いをいただいている」とした上で、「日本ではまだメインフレームが残っているところが多く、アプリケーションのバッチ処理性能に課題を抱えている企業に向けてExadataを販売していきたい」としている。バッチ処理のパフォーマンスが向上すれば、顧客からの要求に迅速に応えることにつながり、ひいてはIT経営のスピード化が求められている現在において、Exadataが「顧客のビジネスに貢献するITソリューションとなり得る」(遠藤社長)からだ。

Oracle Exadataの国内デリバリーは、日本オラクルが製品の販売とサポートを、日本ヒューレット・パッカードが製品の搬送とハードウェア関連サービスを提供する。価格はHP Oracle Database Mashineが7,418万4,810円、HP Oracle Exadata Storage Server(ハードウェア)が273万9,135円、HP Oracle Exadata Storage Server(ソフトウェア、1ディスクあたりのライセンス料)が114万1,350円。

HP Oracle Database Machineの前で記念撮影。日本ヒューレット・パッカード 代表取締役 社長執行役員の小出伸一氏も会見にかけつけた。「オラクルと協力し、(Exdataを販売する)パートナー企業への教育/支援を拡げていきたい」(小出氏)