欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)は1月17日(ベルギー時間)、米Microsoftに対し、EUの独占禁止法にあたるEU競争法違反の疑いがあるとして1月15日付けで異議告知書(Statement of Objections)を送付したと発表した。Webブラウザ「Internet Explorer(IE)」をOSにバンドルすることは、独占的立場の濫用であるという暫定的な結論に至ったとしている。

今回の競争法違反調査は、ノルウェーOpera Softwareの要求を受けてのもの。Operaは2008年1月、IEのバンドルについてECに苦情を申し立てており、ECはIEのバンドルと「Microsoft Office」などオフィススイートの相互運用性の2点について調査を進めていた。

ECは、Windows OSは世界のPCの90%というシェアを持ち、これにIEをバンドルすることは、Webブラウザ市場の競争を阻害し、製品イノベーションを損ない、最終的には消費者の選択を限定している、と述べている。また、IEが多くのPCにインストールされている事実により、コンテンツプロバイダやソフトウェア開発者がIEを主眼に置いてWebサイトやソフトウェアを設計するという状況につながっている、とも述べている。

この異議告知書は、2007年9月の欧州第一審裁判所(CFI)の見解を土台とするという。CFIは当時、メディアプレイヤー「Windows Media Player」のバンドルは競争法に違反するとの判定を出している。

一方、Microsoftは16日に声明文を発表。異議告知書を受領したことを認め、EUの法に遵守する意向であることを明らかにしている。Operaも17日付で声明文を発表し、「Microsoftが10年以上の間、抑制してきた市場に競争を復活させるためのステップをとったECに対し、インターネットユーザーに代わって賞賛の意を表したい」と同社CEO Jon von Tetzchner氏はコメントしている。von Tetzchner氏はまた、「ブラウザは消費者にとってインターネットへのゲートウェイであり、アプリケーション開発そのものにとって重要なプラットフォームになっている」とも付け加えている。

異議告知書の送付は、競争法違反調査における公式ステップであり、通知を受けたMicrosoftには8週間の回答期間がある。Microsoftは公聴会を要求することもできる。