米Gartnerは14日(現地時間)、全世界の最高経営責任者(CIO)を対象に調査した、2009年のIT予算の状況を発表した。

調査は同社の事業部門「エグゼクティブ・プログラム(EXP)」が、2008年9月15日から12月15日にかけて、全世界48カ国の企業1,527社に対して実施。その結果、2009年の企業および公共機関におけるIT予算の総額は、前年とほぼ横ばいの合計1,380億ドルとなった。また、前年比では、全体の1/3が"同等"、46%が"微増"、21%が"削減"と回答した。さらに地域別では、北米・ヨーロッパ諸国では前年並み、南米諸国では微増、アジア・太平洋諸国ではわずかに減少する傾向が認められた。

Gartnerグループの副社長で今回の調査の責任者であるMark McDonald氏は「企業はIT投資が先行き不透明な経済状況において貢献することを期待している。現在の局面や将来の変化を乗り越えることのできる強固な企業体制にするために、CIOは断固とした態度で意を決する必要がある。一流企業は経済状況の深刻さを認識しているものの、それに尻込みしてはいない。経営者たちは、IT投資が結果をもたらす可能性を信じている」とコメント。

一方、2009年のビジネス面での優先度では、ビジネスで期待するトップ5項目のひとつとして、57%のCIOが"ビジネスプロセスの改善"を挙げ、2005年以来連続の1位となった。以降、"コスト削減"が前年5位から2位に、"ワークフォース(要員)のコスト効率の改善"が前年6位から3位に上昇し、コスト削減を課題とする企業が増えていることを裏付ける結果となった。

2009年におけるビジネス面の優先度

順位 項目 前年順位
1位 ビジネスプロセスの改善 1位
2位 コスト削減 -
3位 ワークフォース(要員)のコスト効率の改善 6位
4位 新規顧客の獲得/維持/td> 2位
5位 情報/分析機能の利用の拡大 8位
6位 新製品や新サービスの開発(イノベーション) 3位
7位 より有効な顧客と市場に的をしぼる 9位
8位 経営主導の改革 -
9位 既存顧客との関係強化 7位
10位 新規市場または新しい地域への業務の拡大 4位

この結果について、McDonald氏は「ビジネスプロセスの改善がもたらす潜在性がIT投資の中心の一部になるということを経営者が認識し始めた」と分析。さらに「ビジネスのパフォーマンスやそれを取り巻くアプリケーションシステム、ひいては経営者とITの責務として、ビジネスプロセスは重要なもの。ビジネスプロセスの改善は経営者の期待に答える結果をもたらすことができるだろう」と述べている。

またテクノロジ面では、経営者は、コアインフラ技術への投資を優先する傾向にあるようだ。2009年のテクノロジ戦略の優先度として挙げられたもののトップは、前年同様"ビジネスインテリジェンス"。以下、前年同様3位に"エンタープライズアプリケーション(ERP、SCM、CRMなど)"、4位に"サーバー/ストレージ技術(仮想化を含む)"が続くなど、緊急時対策のための技術から企業基幹向けシステムへと投資の方向性を転換していることが見てとれる。

2009年におけるテクノロジー面の優先度

順位 項目 前年順位
1位 ビジネスインテリジェンス 1位
2位 エンタープライズアプリケーション(ERP、SCM、CRMなど) 2位
3位 サーバー/ストレージ技術(仮想化を含む) 3位
4位 レガシーアプリケーションの最新化/td> 4位
5位 コラボレーションテクノロジ 8位
6位 ネットワーキング、音声/データコミュニケーション 7位
7位 より有効な顧客と市場に的をしぼる 9位
8位 セキュリティ技術 6位
9位 サービス指向アーキテクチャ 10位
10位 文書管理 9位

McDonald氏は「CIOのテクノロジ戦略がより大がかりなものに変換してきていると評価する人もいるかもしれないが、経営に必要な適当な資産を既に持っている場合に、需要な投資をする以前に、その資産からより価値を引き出そうと努めるのは当然だ」とコメントしている。