「こうした時期だからこそ、EMCの技術、ノウハウを生かすことができる」と、EMCジャパンの諸星俊男社長は切り出す。100年に一度といわれる経済不況のなか、IT業界においても、企業のIT投資の抑制という深刻な問題降りかかっている。だが、諸星社長の強気な言葉に表れされるように、コスト削減、システムの効率化を提案するEMCジャパンのビジネスに、いま、注目が集まっている。ユーザーが求めるのは、短期間でのコスト削減効果。3年間でTCOを削減するというような提案は通用しなくなっているなか、EMCジャパンはどんな形で強みを発揮しようとしているのか。EMCジャパンの諸星俊男社長に2008年の取り組みを振り返っていただくとともに、2009年のEMCジャパンの展望について聞いた。
--まず、2008年を振り返っていただきたいと思います。EMCジャパンにとって、2008年はどんな1年でしたか。
いくつかの取り組みが、成果となりました。ひとつは、パートナービジネスの強化です。EMCは、直販が強い会社というイメージがありますが、数年前からチャネルビジネスを本格化しています。私が社長に就任した時点では10数社のパートナーがありましたが、残念ながら、すべてのパートナーが機能しているというわけではなかった。これを見直すと同時に、新たなパートナーとも手を組んだ。目標は30社ですが、現時点では24社とパートナー契約を結んでいます。
--強化というのは、パートナー数の増加を指しますか。
パートナーの数を増やすのはひとつの指標になりますが、重視したのは、むしろ、関係の強化です。トップ同士の理解はあっても、何階層かを経て、営業現場やSEの現場になると、EMCのバリューや、パートナーシップの意味が伝わり切れていない。ハードウェアそのもののテクノロジーは圧倒的な差が出にくくなっているが、ソフトを含めたところで、EMCの特徴や強みがあることを知ってもらわなくてはならない。また、インセンティブプログラムやマージンの仕組みについても、なかなか理解されていないため、EMC以外のものを売ってしまうということも見受けられた。そこで、現場の営業、SEに理解を深めていただくための教育の実施や、日本独自の仕組みを加えたインセンティブプログラムを用意し、パートナービジネスを推進するための体制づくりに力を注ぎました。
--成果はどの程度出ていますか。
山登りでいえば、五合目といったところでしょうか。パートナーとの関係強化は時間がかかるものですから、じっくりとやっていきたいと考えています。2008年の成果としてあげられる2つめの要素は、「日本化」への取り組みです。ここでは、顧客満足度の向上が、バロメータとなりますね。