社民党の福島瑞穂党首は25日、動画投稿サイト「ニコニコ動画(ββ)」の「ニコニコ生放送」に出演した。福島氏は「製造業への派遣を可能にした2003年の労働者派遣法の改正が『派遣切り』を招いた。2009年を"雇用安定元年"にすべく頑張りたい」と新年も雇用問題に取り組んでいくと強調した。終了時点の視聴者数は約9,300人、コメント数は約7万5,000に達した。
「住まいも仕事も一気に失ってしまう」という現実
生放送は「『非正規切り』は許さない! ~社民党・労働政策トーク~」と題し、25日午後4時から開始。福島氏のほか、社民党衆議院議員・保坂展人氏、派遣・請負労働者の待遇改善を目指すNPOであるガテン系連帯の池田一慶氏、全国コミュニティ・ユニオン連合会(全国ユニオン)の鴨桃代氏、日研総業ユニオン大分の加藤州平氏の計5人が出演。社民党本部で収録された。
番組中、生放送の画面で、視聴者を対象に随時アンケートを行いながら、画面上に視聴者から寄せられたコメントに関連した話題について話す形式で進行。
「実際に最近、リストラされた、もしくはされそうだ」と質問したアンケートでは、「YES」が22%、「No」が78%。
これに関し福島氏は、「私は『2009年問題』を指摘してきた。というのも、2006年の偽装請負の問題発覚後、企業が派遣社員を雇って3年たつと、その社員を正社員にしなければならない状況が生まれた。企業はこれを避けるため、2006年から3年たった2009年より前に解雇する可能性があったが、これが現実となってきている」と指摘。
「『明日からもう来なくていい』とリストラされると、住まいも仕事も一気に失ってしまう現実がある。そのため、そうした人の雇用促進住宅での受け入れを求めてきて、政府も最近やっと使わせるようになった。だが、まだまだキャパシティがない」と社民党の取り組みを話した。
「自分の周りに解雇された人いる」が35%
ガテン系連帯の池田氏は、「そもそもハローワークに求人がない」と指摘。福島氏も「どれだけ日本で雇用を作っていくかが重要」と強調した。
「家賃を払うのが大変か」と質問したアンケートでは、「YES」が44%、「No」が26%、「自分の周りに解雇された人がいるか」との質問では、「YES」が35%、「No」が65%だった。
これらに関し、社民党の保坂氏は、「以前なら、一時帰休の場合は給料の7割を支給したり、解雇の場合は退職金の割り増しをしたりしていたが、今は解雇された場合『(社員寮などから)3日で出て行け』となる」と企業の対応を批判。
全国ユニオンの鴨氏は、「企業は今や派遣社員を調整弁だと言い切っている。だが、住まいも仕事もなくした人はこれからどうしていいか分からなくなる」と問題の深刻さを訴えた。
「製造業への派遣解禁」が今の事態引き起こす
福島氏は、「企業には、(現金など蓄えてきた)内部留保があるはず。今の企業はそれを使わずに、真っ先に人を切ってしまう」と指摘。鴨氏は「働く人が気持ちよく働けるのが、企業にとっても最大のメリットになるはず。今のやり方では、企業への信頼感、安心感がなくなってしまう」と話した。
この段階で、生放送の視聴者からは、「新卒主義がおかしい」「派遣社員の側にも問題があるのでは」などのコメントがあった。
福島氏は、「一番大きいのは労働法制。2003年に労働者派遣法が改正され、2004年に施行されたが、これは製造業に派遣社員を派遣できるようにした。これによって生まれたのが『非正規切り』などの新しい事態で、明らかな"政治災害"だといえる」と強調した。
職も住まいも失った人にとっては、厳しい年末となる。全国ユニオンの鴨氏は、「全国ユニオンでは、『年越し派遣村』を企画している。生活相談や職業相談に応じる他、炊き出しやみんなで年末年始を過ごすテント村を作ったりする予定。また、泣き寝入りは絶対だめ。会社と交渉して解決できることもある」と呼びかけた。
「将来は不安である」とした最後の視聴者アンケートでは、「YES」が74%、「No」が15%、「どちらともいえない」が11%だった。
福島氏は、「状況は以前悪いが、内定切りをした企業名を公表する動きなど、少しずつ変わり始めている。2009年は『雇用安定元年』を掲げ、社民党として頑張っていきたい」と述べた。
生放送中に表示された、派遣・請負相談を行う派遣ユニオンの連絡先は以下の通り。
03-5371-8808