ノークリサーチは、国内SaaS市場の現状を網羅し、今後の中期的な予測を詳説した「2009年版SaaS市場の実態と中期予測」を発刊した。それによれば、2009年のSaaS(Software as a Service)の市場規模は2,207億円であり、2012年に7,746億円に達するもようだ
ノークリサーチでは、ユーザー企業のIT投資で初期投資抑制の動きが強まり所有から利用への移行が加速するとみられることを、SaaS市場の拡大要因として挙げている。また、PaaS(Platform as a Service)市場はまだ一部の先進企業に限定されるため、2008年に34億円、2009年でも167億円と市場規模は小さいものの、2010年以降に急速な成長が始まり、2012年には1,602億円に達すると同社は予測する。
SaaS形態のサービスに対するユーザー企業のニーズを見ると、財務会計・販売管理・給与計算など基幹系業務の社外委託の割合は低いが、情報処理システム資産の管理・運用(セキュリティ対策・ソフトウェア資産管理・サーバ稼動監視など)の利用意向は強い。
ユーザー企業がSaaSに期待する効果の筆頭はコスト削減だが、既存ソフトウェアパッケージと比較したコスト削減効果だけではSaaSがコスト高になるケースが少なくないという。ノークリサーチは「難易度の高いシステム運用を他者に任せられるメリット」「第三者に管理を委ねることで生ずる法的観点からのメリット」「他者とシステムを共有することによって得られるメリット」といった、SaaSならではのメリットを訴求していくことが重要だと指摘する。
SaaS利用時に適切と考えるユーザー1人あたりの月間利用料金は、業務・アプリケーションの種別や企業年商規模によって大きく異なるという。例えばグループウェアの場合、ほとんどの規模の企業で500円未満が最多だが、年商50億円以上100億円未満の企業では500-1,000円未満が最多だった。
SaaS提供者にとって、どのようなサービスをどの規模のユーザーに提供するかを明確にし、詳細な価格戦略を練ることが重要なポイントになると、ノークリサーチはみている。