米Oracleは12月18日(現地時間)、同社会計年度で2009年第2四半期(2008年9-11月期)決算を発表した。
同四半期の売上は56億700万ドルで前年同期比6%のアップ、GAAPベースの純利益は12億9600万ドルで1%のダウンとなる。
同社の純利益が前年同期比でマイナスに落ち込むのは2006年第2四半期以来の3年ぶり。ここ最近の同社は為替相場の影響を非常に大きく受けており、少し前までドル安の恩恵を受けて好調だった海外市場が一転、特にユーロ暴落でドル高が進んだことで大きなダメージとなった。
今回の決算は不況トレンドの最新のサインとなる一方で、今後同じシチュエーションにあるIBMなどの他企業にも順番に波及していくことになるだろう。
売上の内訳をみると、ソフトウェア関連が44億7600万ドルで前年同期比8%のアップ、サービス関連が11億3100万ドルで前年同期比2%のダウンとなる。ソフトウェア売上のうちライセンス更新は28億5000万ドルで14%の上昇となるが、新規ライセンス販売は16億2600万ドルと3%の減少となった。新規ライセンス販売が減少に向かうのは、ITバブルが弾けて停滞期にあった2003年以来のこととなる。
製品別の内訳では、新規ライセンス販売はデータベース&ミドルウェアが11億5700万ドルで前年同期比4%のアップ、アプリケーション製品が4億6900万ドルで15%のダウンとなる。
今回の決算では、とかくドル高傾向が大きくマイナスに作用している。新規ライセンスの販売も特にEMEA(欧州、中東、アフリカ)地域での落ち込みが激しく、ユーロやポンドなどの欧州通貨が急激に落ち込んだことが悪影響を与えているようだ。
為替の影響を考慮しなかった場合、同四半期の売上上昇率も6%ではなく12%となり、為替の急激な変化を反映したものであることがわかる。今後しばらくは為替の不安定な動きが続くとみられ、業績も上下方向のいずれにも振れ幅が大きくなる可能性があり、業績見通しをよりいっそう難しいものにしている。
また2009年以降しばらくは企業のIT投資抑制が続く可能性が高く、困難な時期が続くだろう。だが近年の相次ぐ買収で製品ポートフォリオと顧客ベースを大幅に強化したことが、今後数年間の難局を生き抜くうえでの基礎体力となっていることが同社の強みだ。いち早く苦境を抜け出す次の一手に期待したい。
同社CEOのLarry Ellison氏は今期決算において「データベースマシンの販売を開始したこと」「SFA関連で最大規模のオンデマンドサービス契約を受注したこと」の2点を報告している。特に後者については「Salesforce.comに競り勝った事例の1つ」とライバルへの牽制も行っている。