市場調査とコンサルティングを行うシード・プランニングは、排出権取引への日本企業の取り組みについてアンケート調査を行い、一部結果を発表した。アンケートは今年の9月から11月にかけて、郵送およびEメールよって行い、166社から有効回答を得た。なお、この結果は来年1月、「日本の排出権取引の将来性と企業動向調査」というレポートとして、発刊される予定だ。

排出権取引への取り組みでは、すでに排出権を購入した企業は11社(7%)で、購入計画を含めると、9%の企業が購入のステップを行っているという。先進的な企業としては、電気、ガス、熱供給、水道、金融・保険、製造などの業種が挙げられ、発表を行ったシード・プランニングの金森美穂氏によれば、「企業規模が大きいほどより先進的である」という。また、これらの企業は環境やCSR活動の公開も行っており、かつ、環境への取り組みをビジネスチャンスと捉えている傾向が強いという。

排出権取引への取り組み

購入の目的としては、「自社のCO2削減目標達成のため」「カーボンオフセット事業を行うため」など、利用目的がはっきりしている企業が半数以上を占めるほか、「将来の排出権制度に備えるため」「CSR報告書に公表するため」などの理由もみられた。

排出権の購入目的

一方、排出権を購入していない理由では、「排出権取引の動向が不透明である」「購入しなくても削減目標を達成できる」「同業他社が購入しないため」「同規模の他の企業が購入していないため」が上位にあり、現在企業は動向を見守っている状況であることがわかる。

排出権を購入していない理由

カーボンオフセット商品については、「購入したことがある」が6.8%、「積極的に購入したい」が3.7%、「必需品であればカーボンオフセット商品を選択する」が37%と、購入に積極的な企業が半数を占めた。金森氏は「企業規模が大きくなるにつれて、積極的な意見が多くなっている」とその傾向を述べた。

カーボンオフセット商品について

国内排出量取引については「参加予定である」が4.8%、「制度の概要をみて決定する」が15.7%、「わからない」が30.7%、「導入しない予定」が47.6%となっている。なお、今回の調査は10月22日に経済産業省が発表した「排出量取引の国内統合市場の試行的実施及び国内クレジット制度の募集」の前後に実施されており、金森氏は、「現在は状況が変わっている可能性がある」と述べた。

国内排出量取引について