SAS Institute Japan 執行役員 ビジネス開発本部長 兼 プロフェッショナルサービス本部長 宮田靖氏

SASは11日、活動基準原価計算/管理(Activity Based Costing/Activity Based Management。以下、ABC/ABM)製品の新版「SAS Activity-Based Management(以下、SAS ABM) 6.4」をリリースしたと発表した。新版では、「ユーザービリティの向上」「SAS基盤製品との統合」「レポーティング機能の強化」の3点を柱に機能を強化。データ収集からコスト配賦、分析までをよりスムーズに進められるようになった。

SAS ABMは、ABC/ABMを実現するための製品。ABC/ABMとは、原材料費や人件費などの直接費のみならず、運送費や電気代などの間接費も含めたすべてのコストを把握し、業務プロセスや商品/サービス価格などの最適化を図る活動のこと。SAS Institute Japan 執行役員 ビジネス開発本部長 兼 プロフェッショナルサービス本部長の宮田靖氏は、「業務プロセスが複雑化している昨今では、全体のコストの把握が難しくなってきている。ビジネスを成功させるためには、収益構造を明確化しておく必要がある」と語り、バリューチェーンの見える化が大きなポイントであることを強調した。

SAS Institute Japan ビジネス開発本部 PMビジネス開発部 部長 森秀之氏

新版の最大の特徴は、「ユーザービリティの向上」にある。「特にコストフローの可視化機能は特徴的」(SAS Institute Japan ビジネス開発本部 PMビジネス開発部 部長 森秀之氏)と言い、原価構造が一目で把握できるようになっているという。コスト配賦基準を定義する際もプログラミングは不要で、ユーザーがビジュアルな画面上で作業を進めることが可能だ。

コストフローの可視化機能

コスト配賦基準の定義もビジュアルに設定可能

また、「SAS基盤製品との統合」という点では、SAS/Accessなどにより実現されるデータ統合プラットフォームを利用できるようになり、各種データベースや非構造化データ、ERPアプリケーションなどとデータ連携することが可能になった。同製品は、「元々ABC Technologiesにより開発されたもので、企業買収によりSASの製品ポートフォリオに加えられた」(森氏)が、従来は他製品との親和性がそれほど高くなかった。その問題が解消されたかたちだ。

SAS/Accessによりさまざまなデータソースと連携できる

300種類以上のデータ加工処理をGUIから実行可能

そして、「レポーティング機能の強化」では、軸を自由に切り替えながらアドホックにコスト構造をドリルダウンできるコスト分解レポートを出力することが可能になったほか、他のSASアプリケーションとの連携により、統計解析・グラフィカルな分析レポート、OLAP、バランスト・スコアカードに対応できるようになった。

コスト分解レポート

他のSASアプリケーションとの連携によりさまざまなレポートを出力できる

販売価格は最小構成で約1,000万円。国内では金融業や流通業を中心に約20社で採用されているという。