米IBMは、「IBM Next 5 in 5」の第3弾を発表した。「IBM Next 5 in 5」は、今後5年間に人々の働き方や生活、娯楽などを一変させる可能性を持つイノベーションをまとめたもので、2006年に第1弾を、2007年に第2弾を発表している。

今回発表された5つのイノベーションは以下となる。

  1. アスファルトや塗料、窓など、どこでも太陽光技術
  2. あなたの健康を占う水晶玉
  3. 話しかけると返事をするウェブサイト
  4. あなただけのデジタル・ショッピング・アシスタント
  5. 物忘れは遠い昔のことに

1つ目の「どこでも太陽光技術」では、“薄膜太陽電池”という、シリコン・ウエハーの電池よりも100倍薄く、より低価格で製造できるコスト効率の高い新しいタイプの太陽電池の開発に言及。薄膜太陽電池は、柔らかい材質に“印刷”したり配置したりすることができるため、建物の最上部だけでなく、側面や薄い色の付いたガラス窓、携帯電話、ノート型PC、車、衣類への利用にも適しているという。今後5年間に、太陽光エネルギーは、より手頃な選択肢となるだろうとまとめている。

2つ目の「健康を占う水晶玉」は、科学者によるヒトゲノムの配列解読により、各個人のDNAに基づいた遺伝子地図が作成可能となることを示す。遺伝子地図により、医師は個人の健康の特性やリスク、予防情報を提供し、製薬会社は個人に合わせてより効果的な新薬の開発を行う。ヘルスケアのあり方が大きく変革するという。

3つ目の「話しかけると返事をするウェブサイト」とは、音声サイト(VoiceSites)を使うことにより、PCやインターネットに慣れていない人々や読み書きができない人なども、ウェブサイトのもたらす利益や利便性を享受できるようになる可能性を示す。音声でネット・サーフィンを行う技術はすでに完成しており、まるでウェブサイトと会話をしているかのように、自分の必要な情報を口頭で検索し、また情報を読み上げてもらえるという。

4つ目の「あなただけのデジタル・ショッピング・アシスタント」は、たとえば店内の試着室に「デジタル・ショッピング・アシスタント」を設置し、洋服やアクセサリーについてEメールやSMSなどで友人や家族に相談したり、製品の評価や他の購入者のレビューを参照できる環境を示す。購入決定の際に、店員よりも消費者同士の意見などをより信頼するようになるなど、買い物のスタイルに大きな変化をもたらすと予想している。

最後の「物忘れは遠い昔のことに」は、携帯または据え置き型の機器による情報サポートにより「物忘れは遠い昔のことに」なることだ。食料品店で何を買うのか、会議で誰と話したのか、いつどこで友達と会う約束をしたか、空港の広告で見た製品は何だったかなど、日常生活の細かな情報が記録、保存、分析され、適切な時間や場所で提供されるようになるという。GPS技術を装備したスマート・フォンがある店の前を通った際に通知したり、テレビやリモコン、テーブルなどが情報媒介となる可能性もあるとしている。

ちなみに2006年は、「いつでも、どこにいても健康管理」「リアルタイムの音声翻訳」「3次元インターネット到来」「環境問題をナノテクノロジーで解決」「あなたの気持ちをわかってくれる携帯電話」の5つ。

2007年は、「CO2排出量の管理で簡単エコロジー」「新交通システムがストレスのない移動を実現」「食は人なり-食品の安全を徹底追跡」「グローバルに加速するケータイ・サービス」「3Dアバターで診療が変わる」であった。