パナソニックは10日、同社が推進する"eco ideas"戦略における2008年度上期の取り組みについて説明した。
パナソニック 環境本部 環境企画 グループマネージャー 中村昭氏 |
同社は、企業ビジョンとして「地球環境との共存」を掲げるとともに、2007年10月に、eco ideas戦略を発表。「商品のエコアイディア」「モノづくりのエコアイディア」「ひろがるエコアイディア」の3点から環境推進企業としての取り組みを行っている。また、中期経営計画「GP3」において、CO2排出量を、2006年度比で総量30万トン削減を盛り込み、すべての事業活動で環境負荷を削減し、とくに地球温暖化対策の加速、環境経営をグローバルに加速することを重点課題とし、経営の重要指標のひとつとして捉えている。
パナソニック 環境本部 環境企画 グループマネージャーの中村昭氏は、「2008年度は、2006年度比11万トン削減の387万トンを目指しており、2008年度上期は195万トンの実績。上期は生産量を拡大するなかで、総量を削減でき、ほぼ計画通りの進捗。むしろ、わずかに計画以上の削減ができている。下期は経済環境が変化しているが、通期目標は達成できるだろう」とした。
「商品のエコアイディア」では、家まるごとのCO2削減を標榜。日本の平均的な住宅の環境を、一戸建て4人家族、建延面積136.9平方メートルの住宅とし、そこで使われている一般的な商品点数が1990年には78商品だったものが、2008年には96商品へと増加しているにもかかわらず、最新の省エネ機器を活用することで、製品によるCO2削減で42%、ネットワークの活用によるCO2削減で3%、家づくりによるCO2削減で6%、創エネルギーによるCO2削減で11%をそれぞれ削減でき、1990年に比べて合計で60%のCO2削減効果があるという。「1990年の洗濯機を基準にすると、2008年のヒートポンプななめドラム洗濯乾燥機では57%のCO2削減が可能になっている」という。
また、ネットワーク活用によるCO2削減では、家の電気の使用量を「見える化」する、ライフィニティECOマネシステムによって省エネ生活を支援。家づくりにおいては、高断熱、高気密化による性能向上と、ハイブリッド換気システムの採用により、冷暖房効率を高めることなどに成功。創エネルギーでは、家庭用燃料電池コジェネレーションシステムによって、「水を燃料にして電気を作る自然エネルギー利用によって、年間CO2削減量を1,099kg削減できる」とした。
同社では、2009年度の目標として、省エネナンバーワン商品を2008年度の17%の構成比から、30%へと倍増し、低位の商品をゼロ化するという。「2008年度は、ナンバーワン商品の比率は1ポイント増加、低位商品は3ポント進展した。目標にはまだ距離があるが、引き続き努力をしていきたい」(中村グループマネージャー)としている。 また、REACH対応に関しては、欧州向けの商品だけでなく、グローバルすべての商品で同一基準の化学物質管理を行うほか、REACH規制の15物質だけに留まらず、選定可能性がある1,500物質についても把握を開始するなど、物質管理基準を刷新した。これにあわせて、管理システムのデータ構造を大幅に見直したという。
「法律で決まったから対応するというのではなく、我々から先行して取り組んでいくことが大切である。今回の取り組みも、先行するという観点からのもの。また、RoHSの際には、各社がバラバラに取り組んでことで、サプライヤーの混乱を招いた。標準という形で取り組んでいくことが必要だと考えている。先行して1,500物質を対象とすることで、当初はサプライヤーも苦しいだろうが、将来的にはメリットにつながるものになる」とする。業界横断の標準化された化学物質伝達の仕組みを推進。アーティクルマネジメント推進協議会(JAMP)による基本フォーマットにあわせたデータ整理を行う。
また、サプライヤーに対しても周知、協力を求め、同社の管理システム「GP-Web」により、約9,000社の部品メーカー、さらにその上流にある材料メーカーにまで遡って、情報の共有/伝達を行うとともに、eラーニングシステムによる教育システムを新たに提供し、対応の徹底を図る。これらの情報は日本語、英語に加えて、中国語対応も図っていく。
「モノづくりのエコアイディア」では、コトマエ管理と呼ばれる予測による進捗管理を今年6月から導入。3カ月ごとに開かれる決算検討会のなかで、課題と対策を議論。ドメインごとの実績の進捗を管理。さらに、ABC管理により、遅れているテーマに関しては計画的に取り組んでいくほか、メーターやゲージという具体的な指標によるメタゲジ進捗管理、約1万シートを収集した基礎データによるエネルギー使用分析をベースにしたCO2削減管理を進めるという。
事業場のCO2削減取り組み事例としては、高効率インバータエアコンと個別運転制御によって、年間57トンのCO2削減を達成したほか、排熱/ガス吸収式冷温水機の複合運転によるエネルギー削減で年間71トンのCO2削減を達成したという。
「ひろがるエコアイディア」としては、地域にあった活動を、10月4日から16日を重点期間として順次実施。世界39か国と地域、342事業場、518テーマに、20万人が参加したほか、エコプロジェクトのグローバル展開により、商品、モノづくり、ひろげるというエコアイディアに関する活動を展開した。
10月に英国で発表した欧州エコプロジェクトでは、2010年3月までに、業界ナンバーワン環境性能を持つ「ダントツGP」商品を欧州市場向けに20機種開発することや、欧州17の製造拠点から排出されるCO2を、6,000トン削減することを発表した。
また、日本においては、BYOSクリーンネットワーク構想に参加。琵琶湖、淀川水系、大阪湾、瀬戸内海の環境保全について、関西に立地する企業やNPOなどと一緒になり、地球環境との共生を推進するという。2009年1月から本格的な活動を開始することになり、2010年度以降は、全国的な活動へと広げていくという。
なお、国内における排出量取引制度については、「パナソニックとして施行に参加していく。論議のなかに入っていくことになる。だが、2009年度の30万トンの排出量削減目標とは別の要素のものであると捉えている」とした。