米NetSuite CEO ザック・ネルソン氏

ネットスイートは12月9日、日本市場向けにローカライズしたSaaS型統合業務アプリケーション「NetSuite-Release J」の提供を開始したと発表した。同製品は、CRM、ERP、eコマース、会計システムなど、主要な業務アプリケーションを統合したSaaS型システム。日本語化のみならず、日本の法令・商習慣にまで対応した本格的なローカライズ製品としてリリースする。

米NetSuiteは、エバン・ゴールドバーグ氏と米Oracleの創業者ラリー・エリソン氏により1998年に設立された企業だ。各種業務アプリケーションを統合したSaaS型システム「NetSuite」などを提供している。OracleやSAPのスイート製品を導入するほどコストをかけられない中堅企業をターゲットに据え、「業務ごとに個別のパッケージ製品を利用していることにより生じる煩雑さを解消する製品」(米NetSuite CEO ザック・ネルソン氏)として売り込んでいる。

ネットスイート 代表取締役社長 東貴彦氏

同社の日本法人であるネットスイートは、ミロク情報サービスとトランスコスモスにより2006年に設立された企業。今回発表されたNetSuite-Release Jは、会計ソフトなどを提供するミロク情報サービスが関わっていることもあり、日本の商習慣も考慮してローカライズを実施。消費税対応や手形管理、請求締め日設定などの機能を搭載したほか、日本会計様式の財務諸表を出力できるなど、「日本企業が必要とする機能やワークフローを組み込んだ」(ネルソン氏)という。

発表に当たったザック・ネルソン氏は、まず、日本のSaaS市場が2007年~2012年までに17.3%伸張するとの調査結果を引用したうえで、統合されたSaaS型業務アプリケーションであるNetSuite-Release Jがコスト削減と生産性向上を大きく実現することを強調。さらに、旭化成 米国子会社のNetSuite導入事例に触れ、「同社がSAPを利用していた当時は、売上の3%を運用コストとして費やし、190ユーザーライセンスを利用していたのに対し、NetSuiteを導入後は、運用コストが売上の0.1%にまで低減し、75ユーザーライセンスで運用できるようになった」(ザック・ネルソン氏)と説明した。

続くデモでは、経営者、営業部長、倉庫管理者(配送担当者)の3つのロールから操作感が紹介された。経営者でログインすると、営業目標値と営業予測を比較したKPIメーターや、主要業績評価指標、トップ顧客ランキングなどがホームタブに表示され、ERPやBIとして機能することを説明。さらに、営業部長では、ステータスごとの商談集計表や商談中顧客の連絡先がホームタブに現れたうえ、見積処理や発注処理が簡単に実施できるなど、CRMとしての機能が強く押し出され、倉庫管理者では、在庫状況や作業リマインダが表示され、配送処理を容易に行えることが示された。

デモアプリケーションに経営者でログインしたときのホームタブ

営業部長でログインしたときのホームタブ

営業部長のロールでは、商談の登録や発注処理が上部タブから簡単に行える

倉庫管理者でログインしたときのホームタブ

倉庫管理者には、配送処理などの機能が用意されている

NetSuite-Release Jの価格は、基本契約料が月額6万円。加えて、1ユーザー当たり月額1万3,000円の費用がかかる。現在は卸売業や小売業、サービス業を中心に約50カスタマーに利用されており、来年度については「具体的な数字は掲げないが、大きく伸ばしていきたい」(ネットスイート 代表取締役社長 東貴彦氏)という。