米Googleは12月9日 (現地時間)、米国において従来の倍の地域でGoogle Mapsのパノラマ写真機能「Street View」を利用できるようにした。過去最大のカバー地域のアップデートだという。
アップデート後はメイン、ウエストバージニア、ノースダコタ、サウスダコタなどの州が初めてStreet Viewの対象になり、メンフィス、チャールストン、ビンガムトンなどの都市の画像が追加された。カバー地域マップを比較すると、従来までは都市を中心にカバー地域の島が点在した状態だったのが、アップデート後は都市同士がつながり、1つの大きな島が米国全体に広がる。隅々までカバーされていないのはミネソタとサウスダコタを残すのみ。ルートによっては全米横断または縦断のほぼ全てをStreet Viewで楽しめる。
2008年はStreet View強化の年となった。日本のほか、フランス、オーストラリア、スペイン、イタリア、ニュージーランドなどで提供を開始。Street Viewの画像がGoogle Maps APIに追加され、Google Earthにも同機能がもたらされた。11月末に行われたGoogle Mapsのユーザーインターフェイス刷新で、Street Viewへの切り換えやパノラマ画像操作が大幅に改善され、Google Mapsの中核により深く組み込まれた。そして今回の発表だ。製品マネージャーのStephen Chau氏によると、2008年に全世界のStreet Viewのパノラマ画像は22倍も増加したそうだ。
一方で2007年5月にStreet Viewの提供が始まった米国においても、日本国内同様にプライバシー侵害への懸念が根強い。今回はじめてStreet Viewが利用可能になるメイン州のMaine Todayは「観光、不動産業、各種ビジネスに新たな利益をもたらすだろう」と大歓迎だ。それでも「Street Viewは公共の道から視認できる範囲の画像で構成され、個人が特定されないように画像が修正されている。不適切な画像が存在する場合は"Report a concern"をクリックするだけで簡単に削除用のフラグを立てられる」と、紹介記事の最後をプライバシー保護の話題で締めているところに問題の根深さがうかがえる。
2008年のStreet Viewの急速な拡大はオンラインマップ利用の新たな可能性を浸透させたが、その影響をおそれる声が混ざり合った状態が今も続いている。