会長への提案で実現したプロジェクト
IT業界の巨人・Microsoftが本格的にロボット分野に参入したのは2006年。ロボットアプリケーションの開発を支援するツール「Microsoft Robotics Studio」を初めて発表したものだが、同社においてロボティクス部門を指揮しているのがタンディ・トローワー(Tandy Trower)氏である。来日したトローワー氏に、Microsoftの狙いなどを聞いた。
トローワー氏はMicrosoftに27年間在籍したベテランで、同社の中ではかなりの古参になる。Windowsの開発にも、バージョン1のころから関わったという。そしてトローワー氏が最新の仕事として、ビル・ゲイツ氏(同社会長)に提案したものが、Robotics Studioのプロジェクトである。
「Robotics Studioは、ビルと1年以上話し合いを重ねて開発を始めたものだ。そのとき、ロボット業界には多くの課題があるという話をした。1つは市場がなかなかできあがっていかないこと。もう1つは、開発環境についても問題があるということだ。Robotics Studioを投入することで、より早く市場を成熟できるようになると考えた」(トローワー氏)
バージョン1.0がリリースされたのが2006年。以降、2007年にはバージョン1.5にアップデートされ、そして今年11月には最新版の「Microsoft Robotics Developer Studio 2008」(バージョン2.0)が発表された。同社の「Visual Studio」と同じように、無料で利用できる「Express Edition」も提供されている。