AOLの元CEOが米Yahoo!買収に向けて資金集めに奔走していると、米Wall Street Journal(オンライン版)が12月2日付けの記事で報じている。
WSJは関係者筋の話として、2002-2006年までAOLの会長兼CEOを務めたJonathan Miller氏がYahoo!買収を目指して、プライベート/政府系の投資家らに資金提供を持ちかけていたことを伝えている。Miller氏はこの取引で同社株を20-22ドルの水準まで持ち上げることが可能だと株主らに説明しており、もしこれが実現すれば、現状の160億ドルから倍近い280-300億ドルの水準まで時価総額が引き上がることになる。
現在のYahoo!はJerry Yang氏の退任表明を受け、新CEO探しを行っている最中だ。また一方でMicrosoftが依然として同社資産の買収を狙っているという観測もあり、動向が混迷としている。このような中に登場したMiller氏は、同じように混乱期にあったAOLにCEOとして招かれた人物として知られる。ブランド凋落の一途をたどっていた同社に広告主導型のオープン戦略を導入して財務状況の改善を図った。現在は投資ファンドのVelocity Interactive Groupを率いている。Yahoo!については、直近のピーク時の3分の1以下の水準にまで落ち込んだ同社株をすべて買い取り、立て直しを狙っているというのだ。
だがMiller氏のプラン実現は容易ではない。1つは、Yahoo!株が大きく下落したとはいえ、150億ドル超という時価総額の資金を集めるのは容易ではない。また2007-2008年にかけて金融業界への多額の投資で多大な損失を被った産油国や新興国の政府系投資ファンドが、一種の賭けともいえるYahoo!立て直し事業への出資に難色を示しているという声もある。一方でYahoo!はMiller氏の古巣であるAOLとの提携も最後の可能性の1つとして引き続き模索しており、同氏の登場はあくまで新たな選択肢の1つという位置付けだ。
WSJによる今回の報道を受けてYahoo!株は急騰、一時前日比10%近い上昇を見せた。2日同日の終値は7.08%アップの11.50ドルとなっている。