欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会(EC)は11月27日(べルギー時間)、EU理事会がサイバー犯罪の取り締まり強化戦略を支持したことを発表した。これにより、欧州警察Europol(European Police Office)による共通の警報プラットフォームの立ち上げに30万ユーロを投資する。

ECによると、PC上にある情報を盗むことを目的としたウイルス、スパム、ID窃盗、児童ポルノなどのサイバー犯罪行為は増加しているという。オンラインで公開されている児童ポルノの画像は過去5年で4倍に増加しており、インターネット犯罪の半分は児童ポルノの生産、流通、販売に関係しているという。

このような状況を受け、ECではサイバー犯罪の取り締まりを強化する戦略として、5年のアクションプランを提案していた。ここでは、

(1)警察と民間の協力関係を強化するため、調査方法やサイバー犯罪の傾向などに関する知識の共有を進める
(2)警察と民間の両方が、情報の要求、遠隔からの捜索、犯罪者を追跡するためのサイバーパトロール、国境を越えた共同調査に対し、迅速に対応できるようにする
(3)違法コンテンツの掲示など、インターネット上で起こった犯罪行為を報告できる警報プラットフォームを短期間内に立ち上げる

などの具体策が挙がっている。

多くはEUがすでに敷いている既存のサイバー犯罪対策を延長するものとなる。遠隔からの捜索としては、容疑者のPCを遠隔から捜査するなどが考えられるといわれている。

今回、理事会の支持を受け、ECはEUの警察機関にあたるEuropolに30万ユーロの資金を提供し、警報システムを立ち上げる。このアラートプラットフォームはEU27カ国が利用するもので、違法コンテンツの掲示などのサイバー犯罪情報がプールされ、脅威が現れると警報を出すというもの。これにより、加盟国間の情報のやりとり、協同作業を奨励するという。