米Clearwireは12月1日(現地時間)、米Sprint-NextelからのWiMAX通信事業の引き継ぎ完了を報告するとともに、第4世代(4G)モバイルサービスの提供を目指した新会社設立を発表した。新会社の名称はClearwireとなり、従来までSprint-Nextelが提供していたWiMAXサービスのXOHMは新たに統一ブランド「Clear」として全米ユーザーに提供される。また新会社設立にあたり、米Intelや米Googleなど複数の大手企業から計32億ドルの出資を受けた。

Clearwireは全米にWiMAXによるモバイルブロードバンドのサービスを提供するベンチャー事業者。今年5月にSprint-NextelとのWiMAX事業統合を発表した。全米携帯キャリア3位のSprintは業績低迷からの起死回生策としてNextelを買収したものの期待ほどの効果につながらず、事業再編を急務としている。Clearwireとの事業統合は直接的な競合を避け、将来有望なネットワークに対してインフラ構築を優先した投資を行うのが狙いだ。取引は11月に米連邦通信委員会(FCC)から承認を受けたことで完了した。Sprintは2.5GHzの周波数帯を含むWiMAX関連の資産をXOHM事業部ごとClearwireへと譲渡し、新生Clearwire株式の約51%を取得する。

新会社設立にあたり、米Intel Capital、米Comcast、米Time Warner Cable、米Google、米Bright House Networksの計5社が約32億ドルの投資で新生Clearwireへと資本参加する。これら企業とClearwireとの関係は深く、特にIntelは2006年7月に稼働直後の同社へ6億ドルの出資を行うなど、積極的にWiMAXサービスのプロモーションに関わってきた。新会社Clearwireで引き続き会長職に就任するCraig McCaw氏は(商用携帯電話サービスブームの火付け役となった)自身の歴史を振り返り「1983年に携帯電話ビジネスを開始して以来の最もエキサイティングな出来事」とコメントしている。また新生Clearwire CEOのBenjamin Wolff氏は「来年も世界経済が厳しいなか、イノベーションを刺激するこうしたインフラ投資は重要だと考えている。これは始まりに過ぎず、来年以降にClearwireが全米規模で超スピードのモバイルインターネットサービスを展開することで、通信業界地図を塗り替えていきたい」と展望を述べた。