初の黒人大統領として歴史的勝利となった第44代大統領当選者のバラク・オバマ(Barack Obama)氏だが、同氏にまつわる情報漏洩事件が話題になっている。全米第2位の携帯電話キャリアの米Verizon Wirelessは11月20日夜(現地時間)、同社社員がオバマ氏の所有する携帯電話アカウントに不正アクセスしていた事実を公表した。Verizonでは同アカウントにアクセスした従業員を即刻解雇するとともに、同種のユーザーアカウントに対する不正アクセスを行った従業員らが特定されしだい、厳重な処罰を科す方針。

同社によれば、今回の事実は今週になって判明したという。オバマ氏の携帯アカウントにアクセスして通話記録を閲覧した従業員は多数に上る見込みで、それが不正アクセスかどうかに関わらず解雇の措置をとると説明する。また今回問題となった携帯アカウントは数カ月間にわたり未使用の状態が続いており、携帯端末自体もシンプルなフリップ型の音声通話用モデル。BlackBerryのような電子メール送受信やデータ通信サービスを利用できるタイプのスマートフォンではないという。

米Verizon Wireless社長兼CEOのLowell McAdam氏は「われわれはオバマ候補に対して深く謝罪し、ユーザーに対する日々の信頼を維持できるよう努めていく」とコメントした。また同氏は「真摯に業務を遂行する従業員は相応の対価を得られる一方で、不正な行為を働く従業員にはそれ相応の厳しい現実が待ち受けているだろう」とも加え、従業員らに対し警告している。

大統領選期間中はメディアらを巻き込んだスキャンダル暴きが横行するケースが多いが、こうした不正アクセスがスキャンダルを求める集団に金銭授受をもって活用される可能性がある。内部犯行に対する対処は難しく、内部規律を強化するとともに、従業員のモラルが求められることになる。