シマンテックは、『「インフラ」中心から「情報」中心へ』をテーマに、Symantec Vision 2008を東京赤坂のホテルで開催した。基調講演ではシマンテック代表取締役社長 加賀山進氏が日本市場についての講演を行った。

シマンテック代表取締役社長 加賀山進氏

加賀山氏は「最近の経済悪化により世界的にIT投資が縮退しており、ユーザーの関心事はコスト削減になっている。最近注目の仮想化では、サーバ統合によりコスト削減ができるが、仮想化におけるサーバの管理コストという視点が抜け落ちている」と述べた。そして、仮想化におけるソフトウェアの果たす役割は大きく、「確実なバックアップ/リカバリーの実現」「仮想環境での高可用性の保証」「サーバ、ストレージの管理を容易に」の3つの視点でコスト削減ができるとした。

具体的は、「バックアップの統合」「重複排除」「運用管理ミドルウェアの標準化」「スパムメール対策」「グループ内SaaS」の5つを挙げた。

シマンテックが提供する仮想化環境でのソリューション

バックアップの統合では、現在システムごとに別々に行っているものを、ソフトウェアの標準化を行い、1つに統合することが重要だという。これは、米国においては標準であるが、日本ではシステムごとにそれぞれ歴史がありSIerも異なるため、そこまで意識がいっていないという。しかし、現在の状況を考えれば、そんなことをいっている場合ではなく、加賀山氏は「もはや聖域ではない」と述べた。

バックアップ統合

重複排除については、更新部分だけをバックアップすることにすれば、大幅にデータ容量と作業工数を削減できるとし、シマンテックの「Veritas NetBackup PureDisk」を利用し、7GBを10MBまで減らしたユーザー事例を紹介した。

重複排除

運用管理ミドルウェアの標準化によるコスト削減については、もし異機種環境でOSごとに異なるツールを利用しているのであれば、Windows Server 2003、Solaris、HP-UXなど、多くのOSに対応するVeritas製品を利用すれば、コスト削減可能であるとした。

スパムメール対策については、現在メールの8割がスパムであり、そのために企業はメールサーバの増強を迫られている。シマンテックでは、世界に300人以上のセキュリティプロフェッショナルを抱える強力なバックグラウンドがあり、これを活用すれば、サーバ台数を増加するペースを緩やかにすることができるとした。

また、最近企業内SaaSが1つのトレンドになっているが、米シマンテックが買収したAppStreamのストリーミング配信ソリューション「Symantec Workspace Streaming」を利用すれば、レガシーなアプリケーションもWebアプリ化することができ、ライセンスも同時アクセスライセンスで済むのでコストを大幅に削減できるとした。

企業内SaaSのモデル

加賀山氏は日本の販売戦略について、同社では200ある製品のうち10製品で売上げの9割を稼ぐなど、新たな分野に投入した製品マーケットがきちんと形成されないという問題があり、今後新分野の製品を投入する際には、シマンテック自身が市場を作り、パートナーに引き渡すという販売モデルを推進すると語った。

シマンテックの販売モデル。新規製品ソリューション立ち上げフェーズでは、シマンテックが責任を持って行うとした