受信者の同意がない広告・宣伝メールの送信を禁止するなどと定めた改正迷惑メール防止法の12月1日の施行を前に、総務省は14日、「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」を策定・公表した。「同意」が必要ないケースや、メールに表示すべき送信者情報など、改正法や省令を運用する上での具体的な留意点を明示。送信者に厳しい内容となっている。

SNSへの招待や懸賞当選通知も「特定電子メール」に

迷惑メール防止法の正式名称は「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」。12月1日に施行される改正法では、増え続ける悪質な広告・宣伝メールに対抗するため、受信者の同意がない広告・宣伝メールの送信を禁止する「オプトイン方式」を採用

法人に対する罰金額を100万円以下から3,000万円以下に引き上げるなど罰則も強化した。送信者情報を偽った電子メールの送信に対して、電気通信事業者がメール送信を拒否することも可能で、送信を依頼した「送信委託者」を立ち入り検査の対象にできる。

同法や省令を運用するために総務省が今回策定したガイドラインではまず、オプトイン方式の対象となる広告・宣伝メール(特定電子メール)の範囲を規定。

明らかに営業上のサービスや商品などに関する情報を広告・宣伝するメールはもちろん、SNSへの招待や懸賞当選通知、友だちからのメールを装って営業目的のウェブサイトへ誘導するものも「特定電子メール」とした。

一方、政治団体や非営利団体が送信する電子メールは特定電子メールに当たらないとした。

「取引関係」にある場合などはオプトイン規制の例外に

同ガイドラインによると、特定電子メールのうち、オプトイン規制の例外となるのは、(1)「電子メールアドレスの通知」をした者、(2)「取引関係」にある者、(3)「自己の電子メールアドレスを公表」している団体・営業を営む個人、のいずれかの場合。

具体的には、「自分のメールアドレスが書かれた名刺を送信者に渡した場合」や、「金融機関で口座を開設し、継続的に金融商品を購入している場合」など。Webサイトなどでメールアドレスを公開している場合もオプトイン規制の例外だが、「特定電子メールの受信を拒否する」といった文言が併記してある場合は規制対象となる。

改正法では「同意」の有無が大きなポイントになるが、ガイドラインでは同意の取得・確認のためのメールも「特定電子メール」と規定。

従って、同意の取得・確認のためのメールも、事前の同意を取得した場合や、上記に述べたオプトイン規制の例外となる場合以外は電子メールを送信できない。

受信者本人に再度同意確認を行う「ダブルオプトイン方式」を推奨

また、受信者に"なりすます"ことによる「同意」を防ぐため、通知してきたアドレスに対して事業者が確認メールを送り、受信者から返信などの受信者本人による操作があったときに初めて「同意」と確定する「ダブルオプトイン方式」も推奨している。

なお改正法では、送信者に「同意を称する記録」の保存が義務づけられているが、これには、「送信者の負担が増える」との意見がある。

さらに、送信に一度同意した受信者でも、あらためて受信拒否の通知をしてきたときには、以後の送信が禁止されるが、ガイドラインでは、受信拒否を簡便に行うことができる「オプトアウト」の方法を提供するよう送信者に求めている。

電子メールには、オプトアウトの通知ができる旨の記載、送信責任者の住所、苦情や問い合わせなどを受け付けるためのメールアドレスまたはURL、などの表示が義務づけられ、送信者の電話番号の記載も推奨している。