米Amazon.comは11月18日(現地時間)、同社Amazon Web Services(AWS)の新サービス「Amazon CloudFront」を発表した。CloudFrontはインターネット・ストレージ上に保存したデータを世界各地の拠点のエッジサーバにキャッシュとして保存し、ユーザーが高速・低遅延でデータを引き出せる環境を提供する。いわゆるCDN(Content Delivery Network)をクラウドを使って安価に構築し、AWSの従量課金モデルで企業や開発者に開放するものだ。
一般にCDNの構築には膨大な設備投資のほか、コンテンツのパートナーとなる各サービスプロバイダとの提携が欠かせないが、CloudFrontではAmazonの持つAWSクラウドを用いて安価で手軽なサービス構築を実現する。ユーザーはアプリケーションを介してWeb上のコンテンツ、例えば音楽や動画などの大容量ファイルを取得する際など、よりネットワーク的に近い拠点からデータの取得が可能となるため、少ないストレスでサービスを楽しめるメリットがある。
CloudFrontはAWSサービスのひとつということもあり、AWSの他のサービスとの連携が容易になっている点が特徴。特にオンライン・ストレージ・サービスであるAmazon S3と密接に連携するようになっている。アプリケーション開発者はCloudFrontで配信したいデータをS3上にストアし、データ呼び出しのトリガーとなるアプリケーションにCloudFrontのAPIを埋め込むだけでよい。あとはS3などと同様に、従量課金制の「Pay-as-You-Go」モデルに則った形で料金支払いが発生する。初期投資や面倒な手続きが必要ないぶん、比較的気軽に利用できるのがCloudFrontの特徴だといえる。
CloudFrontは現在ベータ版の提供が開始されており、AWSのサイトから利用登録が可能。CloudFrontの活用事例として、Amazon.comでは「Woot」「Playfish」「S3Fox」などのサイトを例に挙げている。