東芝、国内第2位に躍り出た液晶テレビ躍進の秘密

国内シェアが上昇する東芝

東芝の液晶テレビ「REGZA(レグザ)」が、着実に国内シェアを引き上げている。

GfKジャパンの調べによると、東芝の国内における液晶テレビのシェアは、2008年9月の実績で17.5%、10月の実績で17.0%。シャープに次いで第2位となっている。

また、「この領域にフォーカスしている」(東芝のデジタルメディアネットワーク社テレビ事業部・大角正明事業部長)とする26型以上では、8月以前は10%台のシェアに留まっていたものが、9月には21.8%に拡大。10月も21.1%のシェアとなり、やはり第2位のシェアになっているのだ。

「10月における液晶テレビ市場全体の台数成長率は16%増。それに対して、東芝は75%増。また、26型以上では市場全体の21%増に対して、東芝は72%増と、いずれも業界全体を上回る成長率となっている」と、大角事業部長は胸を張る。

付け加えるならば、ハートディスク搭載液晶テレビという領域では、東芝のシェアは10月実績で89.5%と圧倒的。「録画できるテレビといえば東芝というイメージが定着している」と続ける。

東芝のシェアが上昇する理由とは

では、なぜREGZAのシェアが上昇しているのだろうか。

大角事業部長はいくつかの角度から分析する。1つは、「テレビに録画できる点、あるいは高画質であるという点が、他社のテレビと明確な差異化につながっている」とする。

今年11月6日から12日までの期間、REGZAのZH/ZV/RH500シリーズ購入者を対象に、購入理由で最も多かったのが「ハードディスクに録画ができるから」で84.7%(複数回答)。次いで、「高画質だから」の61.1%となり、3番目となった「値段が手頃だったから」の45.8%を上回った。

REGZAが特徴として訴求している録画機能、超解像度による高画質という点が認知され、購入されている証だといえよう。

2つめは、高い満足度を実現しているという点だ。GfKジャパンが実施している薄型テレビ満足度ランキングでは、2006年度上期には3位だった東芝の液晶テレビへの満足度が、2007年度下期には1位になった。

その満足度を支えている最大の要素が、録画だと同社では分析している。「REGZAの録画機能モデルの購入者の回答では、次回購入する時もハードディスクモデルを購入したいとするユーザーは、87%に達した」ということからも、それが裏付けられるとする。

さらに、ネットを中心とした口コミ効果によって、REGZAの付加価値に対する話題が盛り上がっていること、雑誌やサイトの評価をベースに、REGZAを購入しているユーザー層が多いことから、「調べて選べばREGZAになる、という動きが確立したことも大きい」と自己分析する。

また、東芝が持つ半導体技術の採用による高画質化の実現のほか、2008年秋冬モデルでは、20モデル中15モデルがHDD内蔵モデル、あるいは外付けHDDの付属可能モデルとしたことによる録画機能の訴求強化、加えて、グローバル事業展開による規模の確保や、収益構造プロジェクトの実施などによって実現する高コストパフォーマンス製品の提供といった展開が可能になり、「市場需要を開拓した商品戦略が奏功した」と、東芝ならではの取り組みを示した。

そして、これを下支えしているのが、今年からイメージキャラクターに福山雅治氏を起用した広告販促プロモーション展開だ。

「20%以上のシェアを狙うには、これまでのように、こだわり層だけへの訴求では限界がある。一般層、女性層への認知を高め、誰もが欲しいと思うREGZAへと訴求方法を変えた。福山雅治氏は、40歳以下の女性では100%の認知度、50歳以下女性では99%の認知度を持っており、REGZAで狙っている35～50歳の年齢層とも合致する。10月下旬から11月上旬にかけて積極的な広告を打ったが、REGZAの認知度が一気に高まり、実売にも結びついている」と、東芝デジタルメディアネットワーク社テレビ事業部日本部・岡田淳部長は語る。

実際、昨年はわずか42%だったREGZAのブランド認知度は、今年11月の調査では63%に上昇している。「11月27日から12月7日までの期間も、再度、集中的にテレビCMを行う。とくに女性の認知度向上を狙い、年末には、REGZAの認知度を80%にまで高めたい」とする。