マイクロソフトは、海外拠点におけるグローバルセールス、マーケティング、サービス活動を統括する米マイクロソフト シニア バイスプレジデント ジャンフィリップ クルトワ氏の来日に合わせ、プレスラウンドテーブルを開催した。クルトワ氏は現在105ある米マイクロソフトの子会社を統括している。

米マイクロソフト シニア バイスプレジデント ジャンフィリップ クルトワ氏

クルトワ氏は冒頭、最近の厳しい経済状況におけるITの役割について、「我々はこういった状況においても、イノベーションを起こす力を持っている。具体的には、仮想化ソフトのメリットは大きい。現在のサーバをもっと効果的に使うことができコストを33%削減できる。これは、CEOやCIOにとって大きな魅力となるだろう。また、出張費や接待費を削減する意味では、Webカンファレンス、ビデオ会議、UCと言われるユニファイドコミュニケーションが威力を発揮する。マイクロソフトでは、Office Live Communicationsが該当する。さらに、インフラを最適化するという意味では、Microsoft Desktop Optimizationを利用すれば、年間PC1台あたり110ドルのTCOを削減できる」と語った。

日本市場については「日本は米国に次ぐ市場で、今後は1-2%の緩やかな成長を遂げるだろう。これからの日本の成長市場はエンタープライズマーケットで、樋口社長は、製品の質とサービスに焦点を当てている。また、マイクロソフトは、Windows Azureを発表したが、(この市場は)日本において大きなチャンスがあると思っている。これにより柔軟なアプリケーションやサービスがパートナーやマイクロソフト自身から提供できる」とした。

マイクロソフト 代表執行役 社長 樋口泰行氏

また、同席した日本法人社長の樋口泰行氏は「日本では、IT投資に対してどれくらいのリターンがあるかというROIへの要求が非常に厳しくなっている。したがって、これからは、お客様のストライクゾーンに球を投げないとお客様に響かない。そういった意味で、パートナービジネスが重要になってくる。そのためは、グローバル標準でオープンなシステムを使い、コストを下げる必要がある」と語った。

最近の経済状況を考え、政府に実施してほしい政策についてクルトワ氏は、「ポルトガルでは、子ともたちに低価格なネットPCを提供し、知識中心の経済に移行しようとしている。これにより家族全員がPCを使うようになり、新しい学習スタイルを可能にすれば、その国全体に大きな利益になる。また、中国では大きなインフラへの投資が発表がされたが、こういったところにも大きなチャンスがある。私たちは、政府とチームを組んで、こういった事業に参加していきたい」と述べた。

クラウドコンピューティングについては「まだまだ啓蒙は必要だ。CEOやCIOの方々からはよく、もっと柔軟に、もっとアジャイルに、もっと予測可能なITコストを組みたいと言われるが、われわれは、このようなユーザーに対しては、選択を提供することが必要だと考えている。これがSaaSと異なるソフトウェア+サービスのメリットだ。移行やマイグレーションすることもでき、アプリケーションを利用しながらインターネットを使うなど、ハイブリッドな使い方ができる」語った。

そしてクラウド戦略におけるパートナーの役割については、カスタム化、ホスティングサービスの提供、マイクロソフトのプラットフォームを利用した、リセラーとしてサービス提供の3つを挙げた。

Dynamicsに代表される業務アプリケーションについて樋口社長は「日本においては後発で、投入が遅れたが、これからがんばらないといけない。母数が少ないが、毎年倍々で増えている。ユーザーからは、軽さやOfficeで親しんだインタフェース、連携において高く評価されており、パートナーの士気も高い。今までは、海外子会社で導入し、その後(日本の)本社に導入されるケースが多かったが、最近は最初から本社に導入するケースが増えている」と、好調さをアピールした。