富士通と米Red Hatは18日、Linuxサポートサービスに関する提携を強化したと発表した。Red Hatは、Red Hat Enterprise Linuxの各バージョンに対するサポート期間を延長するプログラム「Red Hat Advanced Mission-Critical Program」を開始。富士通は、同プログラムを活用したサービスの提供を始めるほか、Red Hatの拠点にオンサイトエンジニアを派遣して開発・サポートを共同で進め、品質確保プロセスにも参加する。
富士通 サーバシステム事業本部 本部長代理 泉水澄氏 |
Red Hat Enterprise Linuxは現在、機能強化を伴うマイナーバージョンアップが約半年ごとに行われており、障害修正は最新リリースに対してのみ実施されている。しかし、システム運用の現場では、「検証作業が追いつかず、更新が滞るケースも少なくない」(富士通 サーバシステム事業本部 本部長代理 泉水澄氏)。そのため、旧バージョンを使い続け、障害が放置されるケースもあるという。
こうした状況を改善すべく、富士通とRed Hatでは、旧バージョンに対する修正パッチを配布するサービスを開始。両者が共同で障害調査や修正・検証を行い、それを活用したサポートサービスを富士通が提供していく。
富士通が提供するサポートサービスは、「SupportDesk Linux-拡張サポート」と「SupportDesk Linux-長期サポート」の2種類。以下のロードマップのとおり、SupportDesk Linux-拡張サポートではRed Hat Enterprise Linuxの5.2、5.4、5.6をそれぞれ1.5~2年間、SupportDesk Linux-長期サポートでは同 5.3、5.7をそれぞれ5年間サポートする。サポート期間を延ばすことで長期安定運用を実現するほか、新バージョンへの移行を計画的かつ安全に行える状況を作ろうというねらいだ。
富士通 サーバシステム事業本部 本部長 豊木則行氏 |
さらに富士通では、Red Hat Enterprise Linux 4および5で「Shift JIS」を正式サポートすることも表明。泉水氏は「例えば、COBOL資産をLinux環境へ移行する際にUnicodeの導入を強いられることもなくなる。Linux環境への移行を終えてからUnicode対応を行うというかたちで、ゆるやかに作業を進められる」と、エンジニアの負担が軽減されることを強調した。
富士通 サーバシステム事業本部 本部長の豊木則行氏は、今回の提携強化について、「富士通では、メインフレームやUNIXサーバで培った技術とノウハウを活かせるプラットフォームとして、Linuxを次世代IT基盤OSに位置づけている」と明かしたうえで、「ミッションクリティカル志向で富士通とRed Hatのベクトルが一致した」とコメントした。
米Red Hat, Global Business Development, Vide PresidentのGus Robertson氏 |
一方、米Red HatのGlobal Business DevelopmentでVide Presidentを務めるGus Robertson氏は、両社の提携の歴史を振り返ったうえで、「Red Hat Advanced Mission-Critical Program」を将来的に世界展開していく予定であることを明かし、「富士通から始まるサービスである」とまとめた。
SupportDesk Linuxサービスの価格は、拡張サポートが年額36万円~、長期サポートは個別見積もり。両社は今後、マーケティング・営業活動を共同で進める方針で、同サポートサービスを提供したサーバを2010年度末までに国内で5,000台販売することを目標に据えている。
提携を強化し、握手を交わす豊木氏とRobertson氏 |