マイクロソフトとファスト サーチ&トランスファ(ファスト)は、SharePoint Serverを組み合わせた、エンタープライズサーチ事業を共同で展開すると発表した。

ファストは、ノルウェーのオスロに本社を置く、企業向けの組み込み検索エンジンを提供するFast Search & Transfer(FAST)の日本法人。日本においては、楽天、カカクコム、日立製作所、東芝などに検索エンジンを提供している。なおFastは、今年の4月、米マイクロソフトによって買収され、現在は子会社となっている。

エンタープライズサーチとは、ドキュメント、メール、ERPデータ、コード、仕様書など、企業内に散在するさまざまなデータを部署間をまたいで横断的に検索するもの。Web用サーチエンジンとの違いについて、ファスト サーチ&トランスファ 代表取締役社長 徳末哲一氏は、

(1)企業に必要なデータはどういったもので、どれくらいのタイミングで取得するのかということがきちんと定義されている
(2)ユーザーの意図を汲み取って検索する
(3)検索結果を企業ポリシー、企業戦略に従って表示する

という3つを挙げた。そしてFASTでは、これらを実現するためエンタープライズサーチ プラットフォームである「FAST Enterprize Search Platform(FAST ESP)」を提供する。

FASTのエンタープライズサーチ プラットフォーム

FAST ESPでは、アイテムベース、パーソナライズ、ソーシャルという3つのレコメンデーションを提供する。アイテムベースは、キーワードと関連性の高いアイテムを紹介するというもの。パーソナライズは、人の行動とリンクし、ユーザープロファイルをベースにした検索結果の提供、そしてソーシャルは、企業・組織としてどういう情報が大事かという、メンバー間共通の情報を提供するものだ。またFAST ESPは、検索結果から自動的にエンティティを抽出し、インデックス化する機能も提供する。

エンティティの自動抽出。徳末氏は、この機能はユーザーにひらめきをもたらすと語った

マイクロソフトでは、これらFASTの検索技術をSharePoint Server用のサーチエンジンとして活かすため、ファストと共同でソリューションを展開する。具体的には、両社共同での検索ソリューションの提案、コンサルタント窓口の一元化、双方のパートナーによる統合ソリューションの提供を図る。

両社の協業体制

現在、SharePoint ServerにFASTの検索エンジンを組み込むには、Webパーツを利用するなど、別途開発が必要になるが、次期バージョンのSharePoint Serverでは、オプションとして選択可能とし、開発なしで搭載可能となる。

マイクロソフトのエンタープライズサーチのロードマップ

また、マイクロソフトが最近積極的に展開するクラウドコンピュータ領域におけるFASTの検索エンジン利用については、先月PDCで発表されたWindows Azure向けに、APIを提供する予定だという。