米シスコは、サービスプロバイダ ネットワークエッジ市場向けに「Cisco Aggregation Services Router 9000 Series(ASR 9000)」を発表した。

ASR 9000は、初のCisco Aggregation Services Routerとして4月に投入されたCisco ASR1000シリーズに次ぐ第2弾の製品で、10スロットのCisco ASR 9010および 6スロットのCisco ASR 9006という2種類のフォームファクタが用意されている。

10スロットのCisco ASR 9010(右)および 6スロットのCisco ASR 9006(左)

昨今、ビデオの利用により、IPトラフィックは飛躍的に増大しており、シスコの調査によれば、2007から2012にかけ、その量は6倍になるという。ASR 9000は、このようなVisual Networking実現に向けたキャリアイーサネット基盤を支えるもので、6.4テラビット/秒と400ギガビット/スロットの速度を提供する。

シスコシステムズ 社長兼CEO エザード・オーバービーク氏

シスコシステムズの社長兼CEOのエザード・オーバービーク氏は、「ビデオ対応の携帯、地デジへの移行など、日本の動画は世界の先を行っている。次世代のネットワークはビデオのトラフィックに対応できなければならない。ビデオは我々の考えの中核にあり、大きなチャンスがこの市場にあると期待している」と述べた。

ビデオ向けには、テラバイト級のストリーミング容量を実現すると同時に、コンテンツ キャッシング、広告の挿入、高速チャネル切り替え、エラー修正を提供するCisco Advanced Video Services Module(AVSM)を提供する。

ASR 9000には、Cisco IOS XRオペレーティングシステムを搭載しており、モジュラ性により、ソフトウェアのアップグレードやモジュール交換の際でもノンストップ運用が可能で、パケット転送の判断と実行のすべてが、個別のラインカード上で行われる。

イーサネットラインカードには、40ポート ギガビットイーサネット、4ポート 10ギガビットイーサネット、8ポート 10ギガビットイーサネットがあり、最大384kのキュー、32,000のインタフェース、100万のルート、100万のMACアドレス、および20,000のVPNを装備している。各ラインカードには、基本バージョンと拡張バージョンがあり、拡張バージョンは基本ラインカードの2倍の拡張性を備えたサービスを提供する。

8ポート 10ギガビットイーサネットラインカード

40ポート ギガビットイーサネットラインカード

また、光トランスポンダーを統合することにより、IP over dense wavelength-division multiplexing(IPoDWDM)とイーサネット サービスをアグリゲーション エッジにまで拡張することが可能だ。

Cisco ASR 9000は環境に配慮した設計になっており、転送速度あたりの消費電力(W/Gbps)が低く抑えられているほか、電源モジュラータイプで、AC 3kW、DC 2kW、DC 1.5kWの3種類が用意され、必要に応じて最大3つまで収容できる(AC電源モジュールとDC電源モジュールの混在はサポートされない)。また、ファンもコントロール可能な可変速度のものになっている。

環境を意識した設計

2009年第1四半期の出荷開始を予定しており、価格は約8万ドルからとなっている。日本では、すでにソフトバンクが試用しているという。