小売業専門の調査会社、英Verdict Researchが発表したゲーム市場報告書「U.K. Video Games & Consoles Retailing 2008」によると、2008年、ゲーム市場規模は前年比42%で成長し、音楽・ビデオを合わせた市場規模を上回る見込みという。ホーム・エンターテインメント市場に変化が起きているようだ。
Verdictでは、2008年のビデオゲームの総売上高は前年比42%で増加し、46億4000万ポンド(約7186億円)に達すると見込んでいる。これは、2003年の21億7900万ポンド(3374億7800万円)の2倍以上となる。英国のゲーム市場は2005年以降、8.1%増、11.4%増、28.5%増と成長率を伸ばしてきた。この結果、今年は音楽・ビデオの市場規模を初めて上回ると予想している。音楽・ビデオ市場規模は今年、44億6100万ポンド(約6909億円)と見込まれている。
ビデオゲーム市場が拡大を見せる一方で、音楽・ビデオ市場は、2003年の44億2600万ポンド(6854億8000万円)からあまり増加していない。成長率は2005年と2006年にはマイナス成長となり、2007年は0.4%増、2008年は0.6%増と微増にとどまっている。
ゲーム市場は今年、年末に発売された「FIFA 08」に「Grand Theft Auto IV」のリリースなど、人気タイトルが相次いで登場した。また、任天堂「Wii」がゲームユーザーを拡大したことも関係ありそうだ。Verdictでは、ゲームソフトの価格はDVDの数倍するが、消費者は映画や音楽などの他のホームエンターテインメントよりもゲームを選択する傾向を指摘している。「音楽とビデオはいく分安定しているが、ゲーム市場は新しい技術を享受してユーザー層を大幅に拡大し、大きな成長を収めている」とVerdictはコメントしている。また、ゲーム機の周辺機器・アクセサリ市場の拡大も後押ししていると分析している。
音楽・ビデオ市場については、違法コピー、価格の低下、CDフォーマットの人気低下などが低成長率の背景にあるようだ。音楽は特に、デジタルダウンロードなどオンラインへ移行しつつあるが、フォーマットによる分断化などが成長を阻害していると見る。このほかにも、革新的な機能の提供、音質、カタログラインナップの拡大などをデジタル小売業の課題に挙げている。