今年6月に米Yahoo!と米Googleが発表したオンライン広告サービスでの提携合意をGoogleが解消した。同社は規制当局や一部の広告主の懸念を払拭できないと判断。一方Yahoo!は提携を推進すべきと考えており、「Googleは法廷で弁護するよりも合意から撤退の道を選んだ」と不満を露わにしている。Yahoo!側にとって不本意な形で両社の提携が破談になったことで、ふたたびYahoo!をめぐる業界再編の動きが活発化しそうだ。
今年2月に米MicrosoftがYahoo!買収に乗りだし、敵対的買収も辞さない構えを示した中で、防衛策として今年6月にYahoo!とGoogleが北米オンライン広告市場における包括的な提携を発表した。これに対してMicrosoftや広告関連団体などがGoogleによる検索広告シェアの独占を懸念、米規制当局による調査も長期化していた。
Googleは今でも、提携によってYahoo!がより関連性の高い広告を検索ユーザーに提供できるようになり、パブリッシャー、広告主、ユーザーのすべてが利益を得られると主張している。だが、「4カ月におよぶ調査で合意内容の修正も提案したが、規制当局と一部の広告主が引き続き提携に対して懸念を示している。このまま押し進めれば、リスクが法廷での争いだけではなく、パートナーとの関係にも及ぶ可能性があり、Googleと我々のユーザーの長期的な利益を守るために合意の解消を決断した」(チーフリーガルオフィサーのDavid Drummond氏)。
Yahoo!によると、米司法省に提携阻止を模索する動きが見られたのに続いてGoogleが合意内容の履行を中止すると伝えてきた。Googleとの提携を通じた営業キャッシュフローの増加が事業改革を加速させるとしていたが、「(破談になっても) Yahoo!のイノベーションと検索分野での成長への取り組みに何ら変化はない」と主張している。
提携合意解消が明らかになってから、何人ものアナリストがMicrosoftとYahoo!の交渉再開の可能性を指摘している。Microsoftは前回、株価が20ドル台前半だったYahoo!に対して1株あたり31ドルを提案した。米国時間11月5日のYahoo!の株価は14ドル前後で推移している。