民主党の小沢一郎代表は3日、動画投稿サイト「ニコニコ動画(秋)」の「ニコニコ生放送」に出演した。生放送の収録場所となった東京都文京区の東洋大学は学園祭の最終日。詰め掛けた約350人の学生や報道陣を前に小沢氏は「一度任せてくれ。俺はやってみせる」と政権交代後の首相就任へ向け、強い決意を表明した。

時に笑顔を見せながら、ネットユーザーらの質問に答えた小沢氏

東洋大学学園祭の中、ニコニコ生放送

「史上初の1万人ネット会見」と題して行われた生放送では、小沢氏への質問を、事前にニコニコ動画(秋)のユーザーを対象に実施した「ニコ割アンケート」の結果に基づくユーザーの質問から採用。

ユーザーからの質問を小沢氏に伝える番組の司会進行役は、週刊文春の元記者の勝谷誠彦氏。

会場となった東洋大学白山キャンパスは学園祭「第44回白山祭」の最終日だったが、生放送の会場となった教室内外で厳重な警備態勢が敷かれる中、小沢氏見たさに多くの学生が詰め掛けた。

勝谷氏に続いて小沢氏が生放送の会場となった教室に登場すると、学生から大きな拍手が巻き起こった。

勝谷氏はまず、ニコニコ動画のユーザーからの質問を紹介。「下着がふんどしというのは本当か」「健康状態は大丈夫か」「ネットでの言論の自由について」「政権交代すると日本は何が変わるか」「こんにゃくゼリー問題について」などがあったと紹介。

「党首討論できないのは日程が合わないから」

勝谷氏はこの中からまず、「下着がふんどしというのは本当か」と小沢氏に質問した。小沢氏は「病院からの指示で必要に迫られてはいているだけで、昔からはいているわけではない」と回答。「健康状態は大丈夫か」との問いには、「微熱が下がらないのだが、ストレスが原因だと思う」と回答した。

小沢氏が麻生太郎首相からの申し出を断って実現しないとされる党首討論について勝谷氏が質問すると、「党首討論は僕自身が導入した制度で、断ってはいない。首相は忙しいからご自身の都合に合わせて日程を提示するので、それに僕の都合が合わないだけ」と説明。

勝谷氏は、「小沢さんが逃げていると思ってました。いやー、本人に聞いてみるもんですね」と納得した様子だった。

話が政府の総合経済対策に及ぶと、小沢氏は「2兆円配ったからと言ってすぐに消費需要が増えるものではない」と批判。「国民の生活設計に組み込まれるような恒久的な政策でないと意味がない」と述べた。

「竹島は日本の領土と思う」

勝谷氏は、ニコニコ動画ユーザーも関心の高い「ネットについてどう思うか」について質問。これに対し小沢氏は「実は僕が自由党党首だったとき、ネット世論での人気は断然自由党がトップだった。ネットは今後ますます大きな役割を果たしていくと思う」と述べた。

さらに、「ネットを公権力で規制するのはよくない」「日本の漫画が人気があるのはいいと思うが、そこで日本が何を世界に発信していくかが重要」などネットや漫画に関する持論を話した。

「民主党が政権をとったら、竹島問題や北朝鮮による拉致問題などに関して、中国や韓国に弱腰になるのではないかとネット上で心配度が高いが」との質問には、「僕は逆だと思う。今の自民党政権こそ、何も自己主張していない。拉致問題でも米国に何も言えないし、中国に対しても自己主張できていない。民主党政権になれば、日本として自己主張していく」と強調。

特に竹島問題に関しては、「僕は竹島は日本の領土だと思っている。だが、日本政府は公式の場できちんと自己主張していない。言うべきことはきちんと言うべきだ」と述べた。

農家への戸別所得補償制度は競争力強化のため

ネットユーザーからの質問はここでひとまず終了し、会場に集まった学生からの質問が始まった。

民主党が掲げる政策について、学生から質問があった

最初の質問は、「民主党は医師の増員を掲げているが、ただ増員するだけでは医師の質が落ちるのではないか」というものだった。

小沢氏はこれに対し、「増員の問題と質の問題はイコールではない。いろんな制約があって医師になりたくない人や、何だかんだ言われる分野に進みたくないという問題が、医師不足を招いている。民主党の政策はこれに対し対策をするもので、質が低下することにはならない」と回答した。

また、民主党の掲げる、農家への戸別所得補償制度について、市場原理をゆがめるものではないかとの質問もあった。小沢氏は、「日本の農産物は非常においしいものが多く、競争力があるが、市場価格が下落した場合、農家がつぶれてしまってはせっかくの競争力が意味がなくなる。あくまで市場原理に基づいて競争が行われた上で、市場価格が下落した場合のみ、補填するというのが戸別補償制度。実はお金もそんなにかからないと予測している」と力説した。