NECは、東京三田の本社1階に、省エネデータセンターのデモ・検証サイト「REAL IT COOLプラザ」を開設した。

同社では2007年11月に、省電力を中心とした環境配慮への取り組みを加速するため「REAL IT COOL PROJECT」を策定。同PROJECTでは、省電力テクノロジーを採用したハードウェア、IT機器の省電力を制御するソフトウェア、冷却設備や電源装置などのファシリティの効率運用の3つを柱に省電力化を実現する。

そして、これら3つを組み合わせることによる効果をユーザーに体感してもらうため、REAL IT COOLプラザを開設した。

同プラザでは、専用の床下設備や空調設備がない25平方メートルの執務フロアに、SIGMABLADEやExpress5800/iモデルなど24台のサーバと、SANストレージ「iStorage Dシリーズ」を設置し、省電力制御ソフトウェア「WebSAM」により管理されている。そして、VMware ESX12台、Citrix XenServer6台を導入し、90台の仮想マシンを運用している。

東京三田の本社1階に開設した「REAL IT COOLプラザ」

ここでは、局所冷却ソリューションとセンサーソリューションの2つの省電力テクノロジーが実現されている。

局所冷却では、サーバをお互い背を向けた状態で設置、ホットアイルという熱だまりを作り出す。つまり、サーバの熱をデータセンター全体に分散させるのではなく、1カ所に集め、局所冷却装置を利用して効率的に冷却しようというものだ。

一方、センサーソリューションは、サーバの前後に設置された温度センサーで常にサーバを監視。負荷がかかりサーバの温度が上昇した場合、制御管理ソフトであるWebSAMが、他の仮想化サーバへ自動的に負荷を分散することにより、データセンターの温度上昇を食い止めようというものだ。

同プラザでは、これらのテクノロジーによりPUE値1.6を実現している。PUE値とは、データセンターの全消費電力量をIT機器の消費電力量で割ったもの。IT機器以外では、空調用の消費電力が圧倒的に多いため、「1」に近づくほど、より省電力化されたデータセンターということができる。一般的に、現在の技術力では2を切ると優秀で、1.3程度が限界だと言われている。

NECではこの施設を、ユーザーに製品やデモンストレーションを見せるだけでなく、独立行政法人科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業(CREST)において、独立行政法人産業技術総合研究所、東京大学と連携して検討している次世代データセンターの検証サイトとしても活用するほか、同社の次世代プラットフォームサービス「RIACUBE」のASP・SaaSの検証基盤としても利用して行く予定だ。

また、同プラザで得られた検証結果・ノウハウを、全国53カ所にある同社のデータセンターに展開する予定だ。