岡村製作所は11月4日、沖電気工業(OKI)のロボット技術「ロボットレッグ」を応用したシーティング(イス)のコンセプトモデル「LEOPARD(レオパード)」を公開した。

ロボットレッグ技術を応用したコンセプトモデル「LEOPARD」

岡村製作所 常務取締役マーケティング 本部長 岩下博樹氏

同コンセプトモデルは、「新しい座り心地を追求したシーティング」(岡村製作所 常務取締役マーケティング 本部長 岩下博樹氏)であり、ロボット技術を応用することで、「母親がわが子を抱く時のやさしさをイメージした」(同)という。

抱き包まれるような座り心地を目指して開発された

OKIのロボットレッグは、人の骨格や筋肉のメカニズムを研究して、人間らしいやわらかい跳躍や着地を実現した脚型ロボット。今回は、この大腿部から股関節にかけての動きをシーティングに適用した。また、「人体モデルとシーティングのモデルを数式モデル化して設計を行うことで、より快適なリクライニング姿勢からの起立を実現した」(沖電気工業 アウンメカベンチャーユニット ベンチャーユニット長 深井善朗氏)という。

OKIの開発した「ロボットレッグ」

筋肉を応用したメカニズムをシーティングに適用するために、数式モデル化して設計を行った

両社のコラボレーションは2007年に開始、同年4月に足首、ひざ、股関節の3関節モデルを採用した第1号の試作機を作成、同8月にひざ、股関節の2関節モデルへと簡略化と安定化を図った試作2号機を作成、以降商品検討、軽量化などを図るために5号機まで試作を行いデザインを完成させた。

4つのコンセプト、「迎え入れる」「包み込む」「やすらぎを与える」「送り出す」が定義されており、競りあがる形で角度がついている座面が、人が座ると最大25°沈み、深く包み込まれる感じを与える。そのまま、背もたれによりかかると最大27°リクライニングし、その状態から立ち上がりの動作に入ると、座面が追従して持ち上がるため、起立を自然な感覚で行うことができる。

4つの稼働状態におけるコンセプト

これらのアクションを柔軟に行うためにOKIのメカトロ技術を応用、座面の下部にユニットとして配置することで、一連の動作を実現している。

LEOPARDを横から見た画像(座面の下にあるのがロボットレッグの技術を詰め込んだユニット)

ロボットレッグ技術応用ユニットの拡大画像

なお、駆動のための電気は不要としており、電源のない場所でも使用が可能である。岡村製作所では、材料などの検討などをさらに進め、2009年5月末ころには実製品として発表したいとしている。

LEOPARDを前に握手を交わす沖電気工業 常務取締役 浅井裕氏(左)と岡村製作所の岩下博樹氏(右)

また、同社では、合わせてオフィスのパーティションとして、液晶技術を用いたマジックスクリーンガラスパーティション「MGP」を発表した。

電源オフ時には不透明なガラスの壁となり(左)、電源をオンにすることで、向こうが透けて見えるくらい透明になる(右)。曲面ガラスでの使用も可能。

同製品は、液晶フィルムと中間膜をガラスとガラスの間に挟みこみ通電することで、ガラスの透明・不透明を制御することが可能となる。

最大992mm×3,000mmのパネルに対応。平面ガラスタイプのほか、曲面ガラス(Rガラス)タイプも用意しており、自由なオフィスレイアウトに対応するとしている。