米Motorolaは10月30日(現地時間)、2008年第3四半期(7-9月期)決算を発表した。同四半期の売上は74億8000万ドルで前年同期比15.1%の減少、純利益(損失)は前年同期の6000万ドルの黒字から3億9700万ドルの赤字に転落した。世界経済の停滞もあり事業全体が低迷してる状態だが、その中でも特に携帯電話部門の落ち込みが前年同期比3割強と目立つ。同社では収益体質改善のための人員削減のほか、来年2009年に予定されていた携帯電話部門の分離を延期し、抜本的なリストラに取り組むことを表明している。
Motorolaのホーム&ネットワークス・モビリティ部門の同期の売上が24億ドル、エンタープライズ・モビリティ・ソリューションの売上が20億ドルなのに対し、携帯電話端末事業のモバイル・デバイス部門の売上は31億ドルで、端末出荷台数は2540万台となる。売上こそ以前と比較して大きく減少したものの、携帯電話は依然として同社の柱の1つであることには変わりない。この携帯電話事業を分離し、より競争力を高めるというプランは、もともと投資家のCarl Icahn氏が旧経営陣に対して提案していた要求の1つだ。Motorolaはかつて携帯電話市場シェア1位のNokiaに続く2位のポジションを定位置としていたが、現在では2位の座をSamsungに奪われ、さらには直近のデータで3位のポジションまでSony Ericssonに脅かされつつある。
こうしたなか、Motorolaはまず同社従業員の5%弱にあたる3000人の人員削減を始めとするリストラプランを発表した。3000人のうち、2000人が携帯電話事業、1000人が残りの事業体からとなる。分割予定の会社のうち、ネットワーク機器などの装置事業を担うブロードバンド・モビリティ・ソリューション担当CEOのGreg Brown氏は、リストラによる2009年度のコスト削減効果は8億ドルに上ると説明する。
また同時に、2009年第3四半期に予定されていた携帯電話事業の分離計画をいったん凍結し、2009年以降に延期することも表明している。経済情勢の動向を見極めるためで、まずは収益体質の改善を優先するというのがMotorolaの考えだ。分離先のもう1つの事業体であるモバイル・デバイス担当CEOのSanjay Jha氏はこのように説明し、「即効策はない」といまの段階でほかに打つ手がないことを認めている。Motorolaは端末リリース計画を大幅縮小する意向を示しており、新製品発表の多くを中止する予定だという。