Google App Engine

大手ベンダがクラウドコンピューティングプラットフォームの提供を本格的に開始しはじめている。どこから線引きをするかという問題になるが、広くコンシューマで活用できるサービスでアプリケーションを構築して動作させるための開発ツールと運用プラットフォームが提供されているものとすれば、2006年8月24日(米国時間)に提供がはじまったAmazon EC2から、4月7日(米国時間)に公開されたGoogle App Engine、27日に発表されたMicrosoft Azure Services Platform、28日に発表されたYahoo! Open Strategy (YOS)をあげることができそうだ。

Google App EngineとYahoo! Open Strategy (YOS)は似ている。Ajax Webアプリケーションの開発ツールとホスティング環境が提供されるようなサービスで、今のところ無償で利用できる。収益モデルは開発と運用プラットフォームを提供することで増加するネットワークサービスがユーザのインターネットへのアクセスを増加させ、結果的に広告プラットフォームを魅力的なものにするというものだ。

Azure Services Platformはクラウドコンピューティングプラットフォーム、Windows Azureは開発用のツールとOSということになる。こちらはサービスそのものを有償で提供するもので、まだ発表があっただけで提供開始時期や料金モデルは不明だ。Google App EngineやYahoo! Open Strategyとはだいぶアプローチが違う。

さまざまなサービスが登場しているが、いったいこうしたサービスで何が開発できるのかが気になるところだ。これまで開発事例やテストケースは紹介されていたが、海外で提供されているサービスで国内からはわかりにくいところがあった。

そこでGoogle App Engine Team, Paul McDonald氏が公開したApp Engine Case Studies に注目したい。短いブログだが、3つの動画が掲載されわかりやすい。Google App Engineをプラットフォームとして開発されたWebサービスの動作事例だ。

Google App Engine活用事例 - BuddyPoke!の場合 - App Engine Case Studiesより抜粋

Google App Engine活用事例 - Pixverseの場合 - App Engine Case Studiesより抜粋

Google App Engine活用事例 - Hypericの場合 - App Engine Case Studiesより抜粋

BuddyPoke!はMySQLやOrkut、Hi5などのソーシャルネットワークで動作するOpenSocialアプリケーション。アバターをカスタマイズしてほかのユーザのアバターとアクションがとれるというものだ。Google App Engineの活用事例としてはもっとも有名なもののひとつで、Google App Engineの高いスケーラビリティを示す例としても興味深い。Pixverseはリアルタイムリッチチャットシステム、Hypericはクラウドプラットフォームの状態表示アプリだ。

これら事例に共通しているのは開発が迅速に実施できたこと、デプロイしてサービス提供をはじめるまでの期間が短いこと、公開されたサービスが自動的にスケールしていることだ。サービスごとに実現できることはかわってくるが、このあたりはクラウドコンピューティングならではといった特徴といえる。