NECは2008年度中間期(2008年4-9月)の連結決算を発表した。売上高は前年同期比0.6%減の2兆1,278億円、営業利益は同51.2%減の134億円、経常利益は同28.3%減の70億円、純利益は18億円(前年同期は47億円の損失)で、減収減益となった。半導体、電子部品、ネットワークシステム、パソコンなどの売上減が大きく影響した。また、開発費の増加の負担も大きくなり利益を圧迫した。同社は10月22日、すでに今年度通期の業績予想を下方修正しており、今回はそれを据え置いている。
部門別にみると、IT関連サービス、サーバ、ストレージなどが含まれ、同社の柱である「IT/NWソリューション事業」は、売上高が同0.2%増の1兆2,763億円だ。ITサービス/SIは同2.9%増の3,754億円で、金融向けを除き、ほぼすべての業種向けで堅調だったとともに、ITプロダクトは同5.5%増の2,715億円、基幹システム向けのサーバ/ストレージの出荷が好調だった。
一方、営業利益は同5.1%減の334億円だった。ITプロダクトの高採算性製品の販売増などによる160億円の増益があったが、国内の移動通信事業者の投資一巡や、海外通信事業者向けシステムが為替変動のあおりを受け、ネットワークシステムが221億円の減収となったことが大きく影響した。
NEC 取締役執行役員常務の小野隆男氏 |
携帯電話、パソコンを中心とする「モバイル/パーソナルソリューション事業」は、売上高が同4.7%増の4,309億円、4-9月の携帯電話端末の出荷台数が同33%増の280万台となり、「携帯電話市場全体が2割も収縮しているにもかかわらず、商品力強化が評価され、伸長した」(同社 小野隆男 取締役執行役員常務)ことで、「モバイルターミナル」の売上高は同20.5%増の1,812億円だった。ただ、機種数の増加にともなう開発費の上昇、新市場参入費用増などにより50億円の減益となった。
携帯電話の増収があったが、同事業の営業損益は11億円の損失(前年同期は81億円の利益)となった。「パーソナルソリューション」は主軸のパソコンの出荷台数がほぼ前年並みの126万5,000台であったほか、海外のパソコン事業の悪化、通信ターミナルなどの売り上げ減などの影響を受け、売上高は同4.4%減の2,497億円、営業損益は10億円の損失(前年同期は30億円の利益)という結果だったことが大きな要因だ。
エレクトロンデバイス事業は売上高が同5.7%減の3,968億円だった。同事業の8割を占める半導体分野では、通信機器向けや、トランジスタ/ダイオードなどディスクリートの売り上げが減り、この分野全体の売上高は同5%減の3,336億円となった。また、電子部品や民生用小型液晶ディスプレイも減少、半導体以外の分野も同9.2%減の632億円となり、同事業の営業利益は同10億円減少の4億円にとどまった。
同社は、今年度通期の業績を次のように予想している。売上高は同0.4%減の4兆6,000億円、営業利益は同23.5%減の1,200億円、経常利益は同15.4%減の950億円、純利益は同33.9%減の150億円。売上高では、エレクトロンデバイスが同5.5%の、ネットワークシステムが同2.4%のそれぞれ減収になるとみている。一方、携帯電話端末は同11.7%、ITサービス/SIは同3.3%、ITプロダクトは同2.2%の増収と見込んでいる。
営業利益の面では、ネットワークシステムで前年度比280億円、パーソナルソリューションで同90億円、エレクトロンデバイスで同74億円の減となる見通しを示しているが、ITプロダクトでは同70億円、ITサービス/SIでは同60億円の増益とみている。これらの領域では、官庁、公共/医療、製造など金融以外は上向きの状況だという。ITサービス/SIについて小野常務は「当社の実際の受注状況を反映している。一般論としては、これだけ強気で良いのかという見方もあるが、自信をもっている」と話す。
その一方、「成長のため、このような開発費を投入していたが、状況が厳しくなっており、開発費も選択と集中が必要になるかもしれない。諸経費も大きな金額だ。これまでも決して無駄なことをしてきたわけではないが、景況感を踏まえて、さらに削減することになるだろう」(小野常務)との状況で、厳しさがにじむ。
開発費については「ネットワーク関連では、NGN(Next Generation Network:次世代ネットワーク)が堅調で、通信事業者のオペレーションが拡大している。NGNの新しい技術展開は、2009年度あたりにピークを迎えるため、そのための開発は当社としてはほぼ終えており、今後大きくは増えない」(同)という。
パソコンの通期出荷台数は前年度比8万台増の275万台を見込んでいる。「国内のパソコン市場は、第3四半期が端境期で、第4四半期には新製品が出て、出荷が増えるとの傾向があり、今年度も同様だとみている。全体的には景気そのものの影響もあるだろうが、商品力の向上などにより、この台数は達成したい」(同)との見通しだ。また、低価格の小型ノートパソコン、いわゆるネットブックについては「当社も参入するが、この市場では、2台目のパソコンとして買う層がかなり多いと考えている」(同)として、大きな影響はないとの見解を示唆した。