NumonyxのVice President and Embedded Business Group,General ManagerであるGlen Hawk氏 |
伊仏合弁の半導体ベンダであるSTMicroelectronicsと米Intel、米投資会社Francisco Partnersの3社が出資するメモリの合弁会社「Numonyx」は10月30日、都内で記者説明会を開催し、日本のアミューズメント市場に特化したNOR型フラッシュメモリ「Numonyx StrataFlash H33」を発表した。また、組み込みアプリケーション向けNOR型フラッシュメモリ「Numonyx Axcell M29EW」も併せて発表された。
同社は2008年の組み込み市場向けフラッシュメモリの市場をNOR型37億ドル、NAND型15億ドルの計52億ドルと推定。主な適用分野は通信、家電、コンピューティング、自動車などだが、同社Vice President and Embedded Business Group,General ManagerのGlen Hawk氏は「NumonyxはNOR、NAND、PCM、RAMと幅広い製品を提供しており、このすべてのカテゴリをカバーしている」と語る。
組み込みにおける日本市場について同社は重要視しており、同氏も「我々のビジネスにおいて、日本の占める割合は高い。密な関係をカスタマと築いていくことで、例えば携帯電話にカメラが搭載されたように、先端の製品開発を行うことが可能となる」と語る。
そのため、同社のエンベデッド・ビジネス・グループ(EBG)は、アメリカ、APAC(アジア・太平洋)、EMEA(Europe, Middle East, Africa)、自動車と日本事業部(EBGジャパン)の5事業部で構成されている。
H33は、EBGジャパンが提供する日本向け製品の第1弾製品。パチンコおよびスロットマシン市場を中心としたアミューズメント市場をターゲットとしている。
65nmプロセス、多値(MLC)技術を採用しており容量は1ダイあたり1Gビットで、1Gビット品から8Gビット品までがラインナップされる。
動作電圧は3.3V(コアおよびI/O)で、バス幅は×16と×32の両方に対応する。また、各ユニットは特別なストレステストと動的なバーンインテストを実施することで、初期故障を減少、カスタマからの低DPM(defect per million)要求に対応している。
すでにサンプル出荷を開始しており、量産は2008年12月からを予定している。「評価を開始しているカスタマからは良い返答をもらっている。これを用いてアミューズメント向けのベストサプライヤを目指す」(同)とする。
一方のM29EWは、65nmプロセス、MLC技術を採用したNOR型フラッシュメモリで、1ダイあたりの容量は256Mビットとしており、製品は256Mビット品から2Gビット品までがラインナップされる。なお、将来的には1ダイあたりの容量は1Gビットまで引き上げられることが予定されているという。
セキュリティ機能の強化が行われており、業界標準の「Smart Protection」を採用しているほか、パスワードによるアクセス機能を同社製品として始めて搭載している。
また、転送レートを競合製品比で最大11倍の高速かとなる1.5MBpsとしたことで、例えば250Mビットのコードをプログラミングした場合で、一般的な製品が4.2分必要とするところを、約23秒で処理することが可能になるという。「スループットの向上を図ったころで、製品の市場投入までの期間が短縮されるほか、TCO(総保有コスト)の削減が実現できるようになる」(同)とする。
こちらも256Mビット品がすでにサンプル出荷を開始しており、順次サンプル出荷が行われるほか、2009年第1四半期からの量産も予定している。また、2009年中にはより大容量の製品を発表することも予定しているという。