「OpenIDは、Web上のサービスをベンダーセントリックからユーザーセントリックへとシフトさせる技術」と語る、OpenIDファウンデーション・ジャパン 発起人代表の野村総合研究所 崎村夏彦氏

OpenIDファウンデーション・ジャパンは30日、有限中間法人として同社を10月1日に設立したことを発表した。第一期会員として国内企業32社が名を連ね、OpenIDの普及・啓蒙活動を進めていく。

OpenIDは、ユーザーのID管理の負担を軽減するための技術。OpenID対応サイトは、ユーザー認証処理を依頼する側(Relying Party。以下、RP)と、その依頼を受け付けてユーザー認証処理を実行する側(OpenID Identity Provider。以下、OP)とに分かれ、RP向けのユーザー認証処理を(RPと連携した特定の)OPで代替的に実行することができる。ユーザーIDやパスワードもOPのものを使用できるため、例えば、ログイン処理を必要とする新規Webサイトを立ち上げる際にも、OPとして対応しているYahoo! JAPANの「Yahoo! JAPAN ID」を使ってログインさせる、といったことが可能になる。

ユーザーはこれまで、新しいサービスに加入するたびに新しいIDを取得しなければならない状況に置かれていたが、OpenID対応サイトの数が増えれば、複数のサービスで同一のIDを使い回せるようになるため、ID管理の手間が省けると期待されている。

OpenIDの概要。複数のサイトで同一のIDを使い回せる

すでに全世界で2万2000以上のWebサイトがOpenIDに対応しており、国内でもミクシィや楽天、Yahoo! Japan、ライブドアなどが加わっている。「最近では、OpenID対応を発表するニュースが日々流れており、昨日はGmailが対応を表明していた」(OpenIDファウンデーション・ジャパン 発起人代表 崎村夏彦氏)というほど、現在急速に普及が進んでいる。

そうした状況を背景に、シックス・アパート、日本ベリサイン、野村総合研究所の3社が発起人となって、2008年2月よりOpenIDファウンデーション・ジャパンの設立準備を進めてきた。米国OpenID Foundationやその欧州支部のOpenID Foundation Europeなどとも話し合いを続け、日本支部としての公認を得て10月1日の設立にこぎつけたという。

今後の活動としては、公開仕様の日本語化支援、講習会・講演会・セミナー等の開催、会員組織の運営、コミュニティ等への支援・情報提供が挙げられており、12月12日にはOpenIDのビジネス活用を探るセミナー「OpenID BizDay」が開催される予定。

さらに、シングルサインオンなどのID管理仕様「Liberty Alliance」の普及・啓蒙を進めているリバティ・アライアンス日本SIGとも連携し、テストや勉強会・セミナーなどを共同で実施していく。

OpenIDファウンデーション・ジャパンの発起人メンバー

OpenIDファウンデーション・ジャパン 第一期会員の面々