既報の通りグーグルは29日未明、地図サービス「Googleマップ」で車向けのルート検索機能の提供を開始した。同日開催された説明会では、カーナビゲーションシステムとの連携機能も備え、まずは日産自動車の通信機能搭載カーナビ「日産カーウィングス」に対応したことなどが開設された。
自由自在にルートを操るルート検索
Googleマップのドライブルート案内は、すでに米国や欧州で開始されているサービス。日本版では、全国「稚内から石垣島まで」(同社)をカバーし、出発地から目的地までのドライブルートを検索、表示してくれる。
その最大のポイントは検索スピードの速さ。検索ボタンを押すと結果を高速表示。既存のカーナビと比べても非常に高速だとしており、この高速化には「苦労がいろいろと詰まっている」(河合敬一プロダクトマネージャー)という。
この高速性を生かしたのが、地図上のルートをドラッグすることで自由にルートを変更できるインタフェース。ドラッグでルートを買えてもその結果がすぐに反映されるため、「ルートを自在に操れる」(同)点がメリットだ。
経由地を検索して追加することも可能で、その結果の反映も高速。経由地を入力した入力窓はドラッグして順番を変えることもでき、ルート検索の自由度が高い。河合氏は、こうしたシンプルなインタフェースで自由にルート検索できるのは「今までになかったのではないか」と胸を張る。
ルート検索に必要なデータはカーナビでも採用されているゼンリンのデータを利用。検索結果は「(ゼンリンのデータを使う)カーナビと同じような結果になる」(同)そうだ。そのため一方通行などもきちんと反映されている。
交差点などのポイントではストリートビューを表示して、ポイントの様子が分かりやすいのも特徴。
地図機能も強化しており、それぞれのポイントごとに地図を表示したり、一部をストリートビューにしたりといったルート地図を印刷できるようにした。
河合氏は今回のルート検索について、すでにカーナビを持っている人が多く、「今すぐに出かけるルート」ではなく旅行の道程を検索するプランニングに有効だという認識を示す。米国の同じサービスではリアルタイムの渋滞情報も提供されているが、「カーナビの普及率が低く、機能も低い」(同)という米国では有効なものの、国内では普及率の高さと機能の豊富さなどから、現時点では渋滞情報は利用していない。ただ、渋滞情報や渋滞予測のサポートも検討はしているという。
また、一般道や無料区間優先での検索は可能だが、有料道路の通行料金の表示は非対応。ETCの利用や、それにともなう時間帯別の料金変動もあり、現状では難しいとの認識だ。
同様に、歩行者向けのナビゲーションについても、「難しいところが多々ある」(同)。歩行者であれば一方通行を逆送してもいいし、歩道橋をどう判断するかなど、新たなデータが必要になることが理由。「将来的には実現したい」(同)としつつ、すぐにでも提供することはなさそうだ。
河合氏は、右側通行など日本特有の道路事情など、ルート検索の実現には1年弱の期間をかけ、「涙なしでは語れない」ほどの苦労を重ねたそうだ。
なお、今回のルート検索はiPhone 3Gの「マップ」や、携帯電話・スマートフォン向けの「モバイルGoogleマップ」でも利用可能。また、地球儀ソフト「Google Earth」でも利用でき、Google Earthではルートを自動で鳥観図としてたどることもできる。
カーナビとの連携機能
ルート検索では、新たにカーナビとの連携機能もサポート。目的地を検索してその詳細を表示すると、「送信」という項目があり、そこに「カーナビ」が新たに追加された。
ここからカーナビに目的地の位置情報を送信することができる。対応するのは日産カーウィングスのみ。対応機種は、「情報チャンネル」を搭載したカーウィングス対応機種。
カーウィングス側では、「CARWINGS」ボタンを押し、「情報チャンネル」→「お気に入り」と選択し、Googleマップの項目を選ぶと送信した位置情報がダウンロードされ、「ここにいく」ボタンを押せばカーナビの目的地に設定される仕組み。
カーナビに対応したことで、自宅での道程プランニングにはGoogleマップを使い、実際に車で移動する際には渋滞情報などの情報を使えるカーナビでルート検索をするといったことができる。カーナビで目的地を再度検索しなくても、目的地を簡単に設定できるというのが売りだ。
河合氏は、「グーグルはパートナーシップをオープンに結んでいく会社」として、今後は他のメーカーとの連携にも期待を寄せる。
なお、GoogleマップやモバイルGoogleマップでは対応している乗換案内は、iPhoneのマップだけが利用できないが、これは「アップル次第」(同)で提供時期に関しては分からないとのことだった。