米Microsoftは10月27日 (現地時間)、米カリフォルニア州ロサンゼルスで始まったProfessional Developers Conference (PDC) 2008で、「Azure Services Platform」「Windows Azure」を発表した。Azure Services Platformは、WebサービスおよびWebアプリケーションの開発、展開・管理、配布をサポートするクラウド・サービスプラットフォームだ。Windows Azureは、Services PlatformにおいてWebサービス/アプリケーションを展開、ホスト、管理するための環境となる。クラウドサービスOSと呼べる存在である。
Azure Services Platformは基盤となるWindows Azureのほか、Microsoft SQL Services、Microsoft .NET Services、Live Services、Microsoft SharePoint Services、Microsoft CRM Servicesなどのキーコンポーネントで構成される。同プラットフォームは、開発者がVisual Studioや.NET FrameworkなどMicrosoftの開発環境を用いてクラウドアプリケーションを作成できる手軽さ、オープンソースを含む他の開発ツールも幅広く利用できる柔軟性を併せ持つ。またHTTP、REST、SOAP、XMLなど、インターネットの主要なプロトコルをサポートし、標準ベースのオープンで相互運用性の高い環境を提供する。
Software+Services戦略を推進するMicrosoftは、Azureにおいても"エクスペリエンス"と"柔軟性"をカギとしている。CSA (チーフソフトウエアアーキテクト)のRay Ozzie氏は、十分にスケーラブルで高可用なサービスをグローバル規模で提供できるように、Azureの展開には慎重であると述べていた。例えばサービスインフラとなるオンラインサービス用のデータセンターも拡充を進めている段階だ。過去数年の間にワシントン州クインシーとテキサス州サンアントニオに大規模なデータセンターを開設したのに続いて、現在イリノイ州シカゴとアイルランドのダブリンでのオープンを予定している。
その中身については「運送用コンテナをサーバ用の柔軟でポータブルなハウジングにすることで、10倍の高密度化と飛躍的な電力利用の節約を実現するなど、Microsoftはサービスインフラの革新性で業界をリードしている」(Microsoft)という。Azureカスタマーは、このMicrosoftのデータセンターを通じたクラウド・サービスとしてAzureアプリケーションを展開できる。またビジネスの必要に応じて従来型のOn-Premiseサーバを選択、もしくは2つを組み合わせられる柔軟性がMicrosoftのソリューションの強みとなる。Servicesテクノロジを仮想化やモデリングなどのテクノロジと組み合わせれば、よりダイナミックかつ効果的にオペレーティングコストを押し下げ、システム支出を最適化できる。ITをより戦略的な武器として活用できる。
Microsoft Online ServicesはOn-Premiseなソフトウエアを補完、または強化するソリューションとなる。Exchange Online、SharePoint Online、Microsoft Dynamics CRM Online、Office Communications Online、Office Live Meetingなど、エンタープライズクラスのアプリケーションをサブスクリプションサービスとして利用できる選択肢が、顧客のIT戦略に応じたソリューション構築をサポートする。
Azure Services Platformのビジネスモデルは、使用量に応じて課金するConsumptionベースになる。料金については「競争力のある設定になる」とOzzie氏。MicrosoftがホストするOnline ServicesソリューションをMicrosoftパートナーが販売するなど、パートナーにとってもビジネス機会の拡大になる。
製品版の提供時期については未定。前述の通り、Ozzie氏はサービス提供には慎重な姿勢を見せていた。ただし開発は順調に進んでいる模様で、PDC2008に参加している開発者に対してテクノロジープレビューという形でAzure Services Platformの限定的なCTP(Community Technology Preview)を提供するほか、AzureのサイトでもCTPへの参加登録の案内が行われている。