米MySpace、米LinkedInなどのソーシャルネットワークサービス(SNS)の登場から数年、SNSは普及し、ユーザーの日常のオンライン活動の一部となった。さらには、米Facebookのプラットフォーム公開により、外部開発者がFacebookで動くアプリケーションを開発できるようになった。他社もこの動きに続いたことから、SNSは次のオペレーションシステム(OS)という声もある。
スウェーデン・ストックホルムで開催された技術と投資イベント「ETRE 08」で10月15日、ソーシャルネットワークのオープン性をテーマにしたラウンドテーブルが開催された。ソーシャルネットワーク分野のベンチャー企業として独sevenload、独sMeet、そして米Googleの代表者が参加した。
ラウンドテーブル参加者: 左が独sMeetのBurckhardt Bonello氏、左から3番目がGoogleのWesley Chan氏、右がsevenloadのAlex Schmiegelow氏 |
OpenSocialを開発したGoogleの狙い
2007年はSNSにとって重要な年となった。まずはFacebookが7月、開発者向けカンファレンス「f8」でアプリケーション開発者向けプラットフォームを発表、SNSではMySpaceの後を追う立場だったFacebookだが、大きな話題をさらった。その4カ月後の11月にはGoogleが「OpenSocial」を発表、MySpace、LinkedIn、日本のミクシィらの賛同を集めた。Googleは自社SNSとしてOrkutを持つ。
GoogleのWesley Chan氏は、OpenSocialによるGoogleの狙いを次のように語る。「OpenSocialは、Facebookのプラットフォーム公開と同じものだ。ただし、OpenSocialはオープンな仕様だ」 - そして「これは大きな違い」とChan氏は強調する。開発者はアプリケーションを一度開発すれば、OpenSocialに対応する複数のSNSで動く。さらには、Googleが仕様をコントロールしないように、OpenSocial Foundationとして運営することも発表している。Chan氏は、Yahoo!とMySpaceが設立メンバーとなっていることに触れ、「Googleは、アプリケーション開発者を支援したいと思っている」と続けた。
Chan氏によると、GoogleはOpenSocialで収益を得ようと考えていないし、Googleの広告システムに限定するわけでもないという。ではなぜOpenSocialを開始したのか -- 「Gmailで無料ストレージを提供したのと同じこと」とChan氏は言う。「すばらしいSNS向けアプリケーションがあり、これがどのSNSでも提供できるようになればもっとすばらしい。アプリケーション開発者は収益を得ることもできる」とChan氏。「GoogleはSNSのエコシステムを改善したいと思っている」と説明した。
sMeetとsevenloadは、OpenSocialの動きを高く評価する。「他のSNSとの相互運用性は今後ますます必要になってくる。OpenSocialのような仕様があってよかったと思う」とsMeetの設立者兼CEOのBurckhardt Bonello氏は言う。