「顧客が求めているモノは仮想化環境ではなく、ノンストップのシステム。Oracle VMがその最適解」と語る日本オラクル システム事業統括本部 Linux & Virtualizationビジネス推進部 部長 林徹氏 |
日本オラクルは28日、高可用性、リソースマネジメントといった機能を強化した同社の仮想化ソフトウェア「Oracle VM 2.1.2」のサポートを11月1日から開始することを発表した。同ソフトはすでにOracleのWebサイトから無償でダウンロード可能。新バージョンではとくに高可用性(ハイアベイラビリティ: HA)に関して大幅な機能強化が施されており、同社 システム事業統括本部 Linux & Virtualizationビジネス推進部 部長 林徹氏は、「Oracle VMが登場してからの半年間、さまざまな顧客の声を聞き、オラクルの提唱するITインフラストラクチャ構想こそが最適解と確信するに至った。今回のOracle VMの機能拡張で、顧客の使いたい仮想化機能はすべて揃ったと言ってもいい」と自信を見せる。
Oracle VM 2.1.2の最大の特徴は、「顧客から最も要望が多かった」(林氏)というゲストOSの高可用性向上だ。運用中のシステムが停止する場合、メンテナンス/アップグレードのような「計画停止」と、予期しない障害によるサーバダウンなどの「非計画停止」がある。うち、計画停止時においては、ライブマイグレーション機能をSSL暗号化することでセキュリティ強化を実現、非計画停止時においては、サーバプール内に自動で空きを見つけて再起動し、ダウンタイムの最小化を図っている。
そのほかの新機能としては、ネットワークやディスクなどのリソース配分に優先順位をつけてI/Oを割り振るリソースマネジメント機能の強化、VMwareなどの他の仮想化環境や物理サーバからOracle VM環境へのスムースな移行、Oracleのグリッドコンピューティング環境「Oracle Real Application Clusters」への対応などがある。また、インストール/コンフィグレーションなしでOracle環境を構築できる「Oracle VM Templates」のラインナップを拡充、今後も継続してリリースしていくことを同時に発表している。今回加わったのは「Oracle Enterprise Manager 10g」「Oracle Fusion Middleware SOA on WebLogic Server 9.2」などで、「電子レンジのようにすぐに解凍して使える」(林氏)簡易さが売りだという。
Oracle VMのもうひとつの特徴は、「ワンクリックでHAを設定」できる簡便さだ。「サーバ仮想化のメリットは、ハードウェアとソフトウェアを切り離し、抽象化できること。1つの物理サーバに対して1つの仮想サーバを作るという考え方はもう古い」(同社)というとおり、仮想化されたリソースをWebブラウザ上で簡単に管理できるため、管理者の負担が少なくて済む。エンプレックス、システムテクノロジーアイなど、Oracle VM導入事例を公開する企業も増えつつあり、VMware、Microsoftといった強力な競合相手に、「安い、速い、ワンストップ」(同社)を掲げて、仮想化市場での地位確立を狙う。