総務省は28日、地上デジタル放送への切り替えに絡む詐欺事件が27件発生していると公表した。総務省では「地上デジタル放送の受信に関し、身に覚えのない工事代金の請求を受けた場合や、疑わしい工事の勧誘を受けた場合などは、すぐには支払わず、総務省のナビダイヤル(0570-07-0101)などに相談してほしい」と呼びかけている。

地上デジタル放送の受信に関しては、デジタル放送に対応したテレビやチューナーなどが必要になるが、まだこれらを備えていない家庭も多い。また、これだけでなく、アンテナがVHF(超短波)の場合、UHF(極超短波)に交換するか、ケーブルテレビ会社などと有料契約を結ぶ必要があるが、周知が徹底しているとは言いがたい状況だ。

総務省によると、こうした状況を悪用した詐欺事件が、2004年2月~2008年9月の期間中に27件発生。

例えば、今年2月8日には愛知県豊橋市で、中部電力を名乗る男が「地上波デジタルの案内チラシを3回郵送したが届いているか」とある家を訪問。「工事をしないとテレビが見られなくなる」と部屋に上がり込み、テレビ周辺を見回した後、工事代金20万円を請求してきた。そのため、訪問された家では、手元にあった18万9,000円を支払ったという。

男は、「30~40分後に領収証を持参する」と言ってその場を立ち去った。その家から中部電力に問い合わせたところ、中部電力では地上デジタルテレビ放送の受信に関する工事の勧誘を行っている事実はなく、詐欺事件であることが判明した。

また、東京都北区では、今年2月18日午前中、NHKを名乗る2人組の男が女性宅を訪問。デジタル放送への変更に3,850円必要だと言われたが、名札も着用していなかったため、女性は不審に思い断った。NHKに問い合わせたところ、NHKではこのようなことは行っておらず、詐欺であったことが発覚した。

総務省では、「少しでも不審と感じたら、総務省のナビダイヤルや各地方の総合通信局、近くの警察署、消費者生活センターなどに相談してほしい」と注意を呼びかけている。