9月後半、韓国政府の知識経済部は、未来のITを牽引する22の「新成長動力」を決定し、発表した。 この際には「太陽電池」「半導体」「ディスプレイ」など、さまざまな項目が選定されたが、今回、その中のRFID/USN(Ubiquitous Sensor Network)について、具体的な取り組みが同部から発表された。

知識経済部はRFIDの実際の導入とその拡大のため、コンソーシアムを結成し事業を進めていく方針を発表した。

これは「初期投資費用が高く、韓国企業による導入が遅れている」(知識経済部)RFIDに関して、国が一部費用などを支援する形で、民間企業による導入を進めるプロジェクトだ。RFIDの導入を誘導するだけでなく、導入した企業の競争力をいっそう強化したり、RFID事業を育成していくという目的もある。

このような事業は、じつは以前にも行われている。2006年から2年間、政府によるRFID事業に参与した、監査法人のGlovisが先導するGlovisコンソーシアムは、年間110億ウォン(約7億6,000万円/1円=0.0691ウォン)の費用節減効果を達成した例がある。こうした事例を弾みに、今回は4つのコンソーシアムが結成されRFIDの導入を進めることとなった。

こうした事業を進めることで「これまでRFIDによる効果を知っていながら、(うまくいかないのではないかとの)危険性から、先に立って導入することをためらっていた」(知識経済部)韓国企業に、導入のきっかけを与えたいという思いがある。

コンソーシアムは、現代自動車とGM大宇による自動車部門と、LG電子による電子部門、新世界Eマート(韓国最大手のスーパーマーケットチェーン)による流通部門の、3分野にわたる4つからなっている。中心となる大手企業のほか、これに協力する多数の部品業者などが参与している形だ。

これらコンソーシアムは、RFID/USNを使ったリアルタイムでの在庫管理など、自社の事業の過程でRFIDを活用できるような形で開発事業を進めていく。分かりやすい具体例として新世界Eマートを挙げると、同社では小型家電製品や靴といった品目を対象に、メーカー、物流センター、および売り場といった全プロセスにRFIDを適用させ、在庫管理などを行う計画だ。

事業費は今年だけでも計97億ウォン(約6億7,000万円)が投じられる。このうち32億ウォン(約2億2,100万円)は政府負担となる。もっとも大規模なのは現代自動車で、他社の2倍以上の50億ウォン(約3億4,500万円)となっている。企業が自己負担する費用的は67%と、2006年にGolovisが参加して行われた当時の53.4%よりも高くなっている。また1つのコンソーシアムに参与する平均企業数も26.8社と、8.6社だった2006年と比べると多くなっている。

2006年よりかなり大規模になった今回の事業。「それだけに大きな成功事例や、新事業の発掘可能性がまたとなく高い」と、知識経済部では期待をかけている。

コンソーシアム(主幹企業) 参加企業数 主要事業内容 総事業費
(億ウォン)
政府支援
(億ウォン)
現代自動車 61 リアルタイム在庫管理、協力業者の物流管理 50 .0 15.0
LG電子 24 PDP製造工程および部品納品管理 22.6 7.5
新世界Eマート 13 小型家電、靴の入出庫管理、盗難防止 12.0 4.5
GM大宇 9 部品調達管理、運送管理 12.4 5.0
合計 107 97.0 32.0