経済産業省は22日、CO2排出量取引に関する国内統合市場の試行的実施および国内クレジット制度の正式開始を発表した。国内統合市場の試行的実施では参加企業などを募集している。

今回の試行的実施は7月29日に閣議決定した「低炭素社会づくり行動計画」に基づくものであり、CO2の排出削減には取引価格を付けて市場メカニズムを活用し、技術開発や削減努力を誘導する方法を活用する必要があるとの観点に立ったもの。

企業などが自主的に削減目標を設定し、その目標の超過達成分(排出枠)や後述のクレジットの取引を活用しつつ目標達成を行う仕組みである「試行排出量取引スキーム」と、同スキームで活用可能なクレジットの創出・取引の2つの仕組みで構成する。

これらを国内統合市場とするため、各種の排出枠やクレジットはいずれもCO2削減において同等に扱うこと、また取引に関する価格指標などが提供されるようにするとしている。

試行的実施にあたってはできるだけ多くの業種・企業の参加を得て、実際に削減努力や技術開発に繋がる実効性があるルールおよび、マネーゲームを除外した実需に基づく健全な市場となるよう取り組んでいくという。

今回の試行的実施により得た経験を活かし、排出量取引を本格導入する場合に必要となる条件や制度設計上の課題などを洗い出すとともに、技術ともの作りが中心の日本の産業に見合った制度のあり方を考え、国際的なルール作りの場でのリーダーシップの発揮に繋げることを目標にしている。

具体的には、まず今年度の参加者による排出目標の策定など一連の手続が終了後、2009年1月-3月を目処に中間評価を実施して2009年度の仕組みに反映させる。また今年度の参加者の目標達成確認が終わった段階で、2009年度に予定している京都議定書目標達成計画の評価・見直しと併せて試行実施に関する全般的評価を、2009年秋頃を目処に実施する予定だ。

排出量取引の国内統合市場の概念図